海外の買い手はUSDCなどのステーブルコインで支払い、日本企業は日本円で受け取る──。ステーブルコインを活用した新たなクロスボーダー決済サービスが登場した。
為替リスク管理サービスなどを手がけるトレーダムは5月22日、規制対応型クロスボーダー決済サービス「トレーダム ペイメント」の提供開始を発表した。
「海外はステーブルコイン、国内は円」の決済サービス

同サービスでは、海外の買い手はUSDCなどのステーブルコインで商品・サービス代金を支払い、日本国内の売り手企業は、原則として日本円などの法定通貨で受け取ることができる。
トレーダムによると、海外で受け取ったUSDCなどは、同社所定の方法で日本円へ転換され、日本国内の企業へ送金される。22日に行われた記者発表会では同社代表取締役の阪根信一氏が、米ドル建てステーブルコインのUSDCを日本円建てステーブルコインであるJPYCに交換したうえで、日本円として送金する流れなどを説明した。
当日はJPYC代表取締役の岡部典孝氏も登壇し、ステーブルコインのクロスボーダー利用について、「時代の流れに沿ったサービス」と評価した。国内の売り手企業は、ステーブルコインを直接保有・管理することなく、クロスボーダー決済を活用できる。
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近年、特に新興国を中心に、米ドル連動型ステーブルコインでの決済・送金が急速に広がっている。背景には、より安価な送金ニーズや自国通貨インフレへの対応、銀行インフラ未整備などがある。

記者発表会には、パリ、ブラジルで越境ECに取り組む事業者がオンラインで登壇し、海外取引における課題について説明。ステーブルコイン決済への期待を示した。
ステーブルコインは「裏側の配管」へ
これまでステーブルコインは、暗号資産取引やトークン化MMFなどへの投資で語られることが多かった。一方で海外では、越境ECや貿易取引など「実需決済」の手段として利用が拡大している。
ただ、国内では、こうした新しい支払い手段を活用できる環境が十分に整っていなかった。
従来の国際送金では、手数料の高さ、着金までの日数、銀行の営業時間の制約などがあり、特に小口決済では使いにくい面があった。
トレーダムは、ステーブルコインを活用することで、低コストかつスピーディーなクロスボーダー決済の実現を目指す。越境EC、貿易取引、デジタルコンテンツ販売などでの活用を想定しているという。
同社は今回のサービスについて、「海外支払人がステーブルコインで支払い、日本企業が法定通貨で受け取るクロスボーダー決済サービス」として日本初だとしている。
ステーブルコインをめぐっては、米国ではVisaやStripeなど大手決済企業も活用を進めている。単なる支払い手段を超え、国際送金や決済の「裏側の配管」として利用する動きが広がりつつある。またAIエージェント時代の決済インフラとしても期待が高まっている。
国内でのステーブルコインは、2025年3月にUSDCが、10月には国内初の日本円建てステーブルコイン(資金移動型)としてJPYCが登場。また、3メガバンクが共同発行の実証実験を行い、SBIが6月に国内初の信託型の日本円建てステーブルコインとしてJPYSCの発行を目指している。
ステーブルコインの活用領域として期待されるクロスボーダー決済が、いよいよ実際のサービスとしてスタートする。
|文・撮影:NADA NEWS編集部



