量子脆弱性のあるビットコインの凍結を提案──コミュニティからは反発の声も

ビットコイン(BTC)の量子耐性への移行を目的とした改善提案「BIP-361」が4月13日にGitHubで草案として公開された。著者にはCasaのJameson Lopp(ジェイムソン・ロップ)氏らが名を連ねる。

この提案は、量子コンピューターがビットコインの暗号基盤に及ぼす脅威に対処するもので、量子耐性を持たない初期のP2PKアドレスなどに保管された約170万BTCが将来的に盗まれるリスクを想定している。サトシ・ナカモトの保有分もこれに含まれる。

BIP-361は3段階の移行スケジュールを提示している。フェーズAでは、発効から約3年後(16万ブロック後)に量子脆弱なアドレスへの新規送金を禁止し、全ユーザーを量子耐性アドレスへ移行させる。フェーズBではその2年後にECDSA/Schnorr署名による送金を無効化し、旧式アドレスに残るビットコインは事実上凍結される。フェーズC(研究段階)では、ゼロ知識証明を用いた救済メカニズムが検討されており、BIP-39のシードフレーズを保持する正当な所有者が凍結資金を取り戻せる仕組みが想定されている。

著者らはこの仕組みを「アップグレードを促す個人的なインセンティブ」と表現し、量子攻撃に対する防御的な措置だと位置づけた。

一方、コミュニティからは反発も出ており、「この量子提案は非常に権威主義的で没収的だ。アップグレードを強制し、古い支出を無効にする正当な理由はない」といった批判の声が上がっている。開発者のOlaoluwa Osuntokun(オラオルワ・オスントクン)氏も「ビットコインの根本的な信条を壊すものだ。事実上の富の再分配を画策するグループには抵抗しなければならない」と述べた

ビットコインの不変性と安全性のどちらを優先するのか。BIP-361は、暗号資産の根幹に関わる議論を再燃させている。

|文・編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock

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