決済大手のVisa(ビザ)は10月15日、送金サービス「Visa Direct(ビザ・ダイレクト)」で、ステーブルコインを使った資金準備の商用運用を開始したと発表した。送金事業者などがUSDコイン(USDC)で支払い原資を用意でき、従来の銀行送金の受付時間に左右されにくくなるという。
海外送金では、送金会社などが受取人への支払いに備え、決済ネットワークにあらかじめ資金を入れておく仕組みが使われる。この事前入金が「プリファンディング(資金準備)」だ。利用者が送金を申し込む操作を支える、事業者側の資金確保の工程を指す。
例えば、週末に送金の依頼が増えれば、送金会社は支払いに使える残高を追加する必要がある。銀行経由の補充に時間がかかると、その間の支払いに備えて、多めの資金を先に置いておかなければならない。ビザは、こうした資金の滞留を減らすことを、ステーブルコイン導入の狙いに挙げている。
USDCは、米ドルの価値に連動するよう設計されたステーブルコインだ。発行元のCircle(サークル)は、1USDCを1ドルで償還する仕組みを提供している。
今回の仕組みでは、事業者がUSDCを使い、必要なタイミングで支払い用の残高を補充する。
銀行の次の受付時間を待つ場面が減れば、余裕を持って置いておく資金も抑えやすくなる。送金を支える資金を、より柔軟に使えるようにする取り組みだ。
受取人は、従来どおり現地通貨で受け取ることができる。ビザは資金準備の試験導入時の説明でも、この点を明示している。今回24時間化されるのは事業者による資金補充の工程であり、実際の着金時間は受取金融機関や地域、確認手続きなどによって異なる。
最初の導入企業は、送金・決済基盤を提供するInyo Global(インヨー・グローバル)だ。同社のサービスを利用する対象事業者は、海外送金に必要な資金をUSDCで24時間、ほぼリアルタイムに補充できる。
ビザは2025年9月30日、ステーブルコインを使った資金準備の試験導入を発表していた。また、カード決済の分野でも、同年12月16日に米国でUSDCによる清算を開始した。今回の商用化は、ステーブルコインを決済や送金の基盤に組み込む取り組みが、事業者の日常業務へ進んだ事例となる。
【次に読む】
» Visa、BVNKと提携しステーブルコイン決済を強化
» VISA、米国でUSDC決済を開始──清算レイヤーにステーブルコインを採用、その意味とは
» Visa、ステーブルコイン基盤「VSP」発表
|文:平木 昌宏
|画像:Visa公式リリースより(キャプチャ)


