ドバイを拠点とする暗号資産(仮想通貨)マーケットメイカーDWF Labsの投資部門「DWF Ventures」は9月24日、暗号資産の保有拡大を主要事業に掲げるデジタルアセットトレジャリー(DAT)企業を検証したリポート「Are DATs worth holding?」を公表した。
保有する暗号資産の評価額(AUM)で見た上位20社を分析した結果、株式時価総額を保有資産の評価額で割った指標「mNAV」が1倍を超えるのは4社にとどまり、創業来のリターンでも大半が現物のまま保有するより劣後していると結論づけている。
折しも、DAT最大手の米Strategy(ストラテジー)は9月21日、9月14日から20日にかけてビットコイン(BTC)を950枚(約7570万ドル、約119億円)追加取得し、保有量を84万6000BTCに拡大したと発表している。
約2週間ぶりの買い増しとなったが、DWF Venturesの集計では、そのストラテジーでさえmNAVは0.97倍と、保有するビットコインの評価額を下回る水準にある。

リポートによると、上位20社のうちmNAVが1倍を超えるのはビットデジタル(BTBT、1.49倍)、ストライブ(ASST、1.21倍)、ハイパーリキッド・ストラテジーズ(PURR、1.17倍)、ビットマイン(BMNR、1.02倍)の4社にとどまった。
プレミアムを保てている企業には共通点がある。株価が保有資産の価値を上回っている間に新株を売り出して資金を集め、その資金でさらに暗号資産を買い増す「ATM(アット・ザ・マーケット)」と呼ばれる手法を使う点だという。株価が資産価値を上回っているからこそ成立する仕組みで、逆に下回れば使えなくなる。
ストラテジーが多用するのは、株式に転換できる社債(転換社債)を発行する方法だ。転換できる価格をあらかじめ現物の35~55%高めに設定しておき、想定通り転換されれば、金利を払わずに資金を調達できたのと同じ効果が生まれるとDWF Venturesは説明する。
ただ、こうした手法はいったんmNAVが1倍を割り込むと機能しなくなり、そこから株価を持ち直すのは容易ではないという。例外はビットデジタルで、クラウド事業「ホワイトファイバー」が第2四半期売上高の89%を稼ぎ出し、暗号資産の評価額が下がった局面でも株価を下支えしたとしている。
一方でDWF Venturesは、mNAVが低い水準にある時に暗号資産の価格が上昇すると、DAT株が3カ月程度の短期間で現物を15~40%上回って値上がりすることがあるとも指摘。7月以降はハイパーリキッド・ストラテジーズとサイファーパンク・テクノロジーズ(CYPH)が、それぞれ現物を31%、38%上回る値上がりを記録した。
ただし同社は、こうした値動きはあくまで出遅れを取り戻す一時的な動きであり、保有期間が長くなるほど現物をそのまま持ち続けた方が有利だとの見方を崩していない。今後は保有する暗号資産の量ではなく、経営陣の手腕や資金調達の仕組みが各社の評価を左右するとの見通しを示した。
こうした厳しい見方は、他の報道とも重なる。英フィナンシャル・タイムズは、DAT上位50社の時価総額が2025年7月から800億ドル超目減りしたと報じている。資産運用会社VanEckも、DAT大手10社の役員報酬の仕組みを比較した分析で、メタプラネットのみを最低評価の「Bad」と判定した。
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|文:橋本祐樹
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