本日、日銀は追加利上げか──円高は再開するのか、FOMC後のビットコインを待つ「二重の価格変動」【エックスウィン】

●FRBに続き、日銀も本日9月18日、政策金利を1.00%から1.25%へ引き上げる可能性が高い。ただし、日米がともに0.25%利上げすれば、単純計算では金利差はほぼ変わらず、円高が続くとは限らない。
●ビットコインでは、日銀の利上げそのものより、植田総裁が次の利上げをどこまで示唆するかが重要となる。急速な円高は円キャリー取引の巻き戻しを通じ、ドル建て・円建てBTCの双方を圧迫する可能性がある。

本日9月18日、日本銀行は金融政策決定会合の結果を公表する。本稿執筆時点では結果はまだ発表されていないが、市場では政策金利を1.00%から1.25%へ引き上げるとの見方が大勢を占めている。

その直前に行われた9月16日のFOMCでは、FRBが政策金利を0.25%引き上げ、3.75~4.00%とした。米国の利上げは2023年7月以来で、12対0の全会一致だった。

新たな金利見通しでは、年内にもう一度の利上げが中心シナリオとなった。ウォーシュFRB議長も、インフレは「高すぎる状態が長く続いている」と述べ、追加利上げを排除しなかった。

これを受けてドル指数は約5週間ぶりの高水準へ上昇し、ドル円も155円台までドル高・円安方向へ戻った。

そして本日、市場の焦点は米国から日本へ移る。

日銀の利上げは「ほぼ本命」

ロイター調査では、エコノミスト68人のうち66人が、日銀が本日の会合で政策金利を1.00%から1.25%へ引き上げると予想している。割合にすると約97%であり、追加利上げが市場の本命シナリオであることは間違いない。

背景には、原油価格の上昇、円安による輸入物価への圧力、賃金とサービス価格の上昇がある。

6月に1.00%へ利上げしたばかりの日銀が、わずか3カ月後に追加利上げへ動けば、金融正常化のペースを速めたと受け止められる。

ただし、本日の会合で最も重要なのは、1.25%への利上げそのものではない。

市場が注目するのは、植田和男総裁が10月、12月、あるいは2027年初めの追加利上げをどこまで示唆するかである。

日米が同時に利上げしても、金利差は縮まらない

今回の最大のポイントは、米国と日本がほぼ同じタイミングで0.25%ずつ利上げする可能性が高いことだ。

FOMC前の米国の政策金利は3.50~3.75%、日本は1.00%だった。FRBが0.25%利上げし、日銀も本日0.25%利上げすると、米国は3.75~4.00%、日本は1.25%となる。

単純に比較すると、今週の日米金利差はほぼ変わらない。

そのため、「日銀が利上げするから円高になる」とは限らない。日銀の利上げがすでに市場へ織り込まれている一方、FRBは今後も追加利上げを行う可能性を示しているからだ。

日銀が1.25%へ引き上げても、植田総裁が今後の利上げに慎重な姿勢を示せば、市場では「材料出尽くし」と受け止められる可能性がある。その場合、発表直後に円高へ動いても、その後は再び円安方向へ戻ることが考えられる。

反対に、10月または12月の追加利上げを強く示唆すれば、円高が再開し、ドル円が大きく下落する可能性がある。

つまり、円相場の方向を決めるのは本日の0.25%ではなく、日米の「次の0.25%」がどちらから先に出てくるかである。

本日の会合後、円高から円安へ戻る可能性

9月前半には、日銀の利上げ観測や日本への資金還流、日米当局による円安への警戒から、円高が進む場面があった。

しかしFOMC後は、FRBの追加利上げ観測によってドルが上昇し、円高の流れはいったん後退している。

日銀が本日、予想どおり0.25%の利上げを実施しても、植田総裁の会見が慎重な内容なら、円は再び売られる可能性がある。市場は利上げの事実ではなく、すでにその先を取引しているからだ。

現時点で考えられるのは、次の三つの展開である。

第一は、0.25%の利上げと追加利上げの明確な示唆である。この場合は円高が進み、円キャリー取引の巻き戻しが強まる可能性がある。

第二は、0.25%利上げを行う一方、その後については慎重な姿勢を維持する展開だ。これが最も現実的なシナリオで、円は一時的に買われても、その後は材料出尽くしで円安へ戻る可能性がある。

第三は、可能性は低いものの、政策金利を据え置くケースである。この場合、円は急落し、ドル円が再び上昇する可能性が高い。

円キャリー取引の巻き戻しは世界市場に波及する

円は長い間、低金利で調達できる通貨として、世界のキャリー取引に利用されてきた。

投資家は低金利の円を借り、その資金で米国株、米国債、新興国資産、暗号資産などを購入する。円金利が上がり、同時に円高が進むと、この取引の採算は悪化する。

円を借りていた投資家は、保有するリスク資産を売却し、円を買い戻して返済しなければならない。

そのため、急速な円高は日本国内だけの問題ではない。米国株やビットコインにも売りが波及する可能性がある。

もっとも、本日の利上げはほぼ織り込まれている。円キャリー取引が本格的に巻き戻されるには、日銀が市場予想を上回る速さで利上げを続けるか、ドル円が重要な水準を割り込み、投資家の損切りが連鎖する必要がある。

ビットコインには二つの経路で影響する

本日の日銀会合がビットコインへ与える影響には、二つの経路がある。

一つ目は、世界的な流動性とリスク選好である。

植田総裁がタカ派的な姿勢を示し、円キャリー取引の巻き戻しが始まれば、投資家はビットコインを含むリスク資産のポジションを縮小する可能性がある。特に先物の建玉が大きく、資金調達率が高い局面では、ロングポジションの清算が値下がりを加速させる。

二つ目は、為替を通じた円建てビットコインへの影響である。

円建てBTC価格は、概ね「ドル建てBTC価格×ドル円」で決まる。円高が進めば、ドル建てBTCが横ばいでも、円建て価格は下落する。

さらに、円キャリー取引の巻き戻しによってドル建てBTCも下落した場合、日本の投資家は「BTC価格の下落」と「円高」の二重の下押しを受けることになる。

反対に、日銀会合後に円安が進めば、ドル建てBTCが伸び悩んでも、円建てBTCは比較的底堅く推移する可能性がある。

日本の投資家は、BTC/USDだけでなく、USD/JPYを同時に確認する必要がある。

FOMC後のビットコインは方向感を決め切れていない

FOMCとウォーシュ議長の記者会見中、ビットコインは約7万5,000ドルから7万6,500ドルの範囲で激しく上下した。

利上げは通常、ビットコインにとって流動性面で逆風となる。しかし今回も、利上げ直後から一方向に売られたわけではない。タカ派発言への警戒と、事前に積み上がっていたショートポジションの買い戻しが交錯したためだ。

以前の記事で確認した2023年の利上げ局面でも、ビットコインの反応は一様ではなかった。

利上げ直後に短期保有者の損失確定が増えた局面もあれば、その後に流動性期待や現物需要が回復し、価格が上昇した局面もある。

今回も重要なのは「利上げされた」という事実ではなく、米国と日本の金融政策が今後どこまで引き締め方向へ進むかである。

本日、投資家が確認すべきポイント

日銀の政策決定公表後は、植田総裁の発言に加え、ドル円、米国債利回り、ビットコインETFへの資金フロー、現物取引量、先物建玉を確認したい。

ビットコインが7万5,000ドル付近を維持し、現物需要を伴って7万6,300~7万6,500ドルを突破できれば、日米同時利上げを消化したと判断しやすくなる。

一方、円高とともに7万5,000ドルを明確に割り込み、建玉の減少を伴う場合は、円キャリー取引の巻き戻しやロング清算が始まった可能性に注意が必要だ。

本日の日銀会合は、単なる日本の金利イベントではない。

FRBの利上げを受けてドル高が進むなか、日銀がどこまで対抗できるのか。そして日米の金融政策の綱引きが、円、世界のリスク資産、ビットコインへどのように波及するのかを確認する重要な会合となる。

本日の利上げそのものは、ほぼ予想されている。

市場を動かすのは、その次の利上げについて、植田総裁が何を語るかである。

ショート動画

本日、日銀は追加利上げか?円高とビットコインを待つ「二重のリスク」
https://youtube.com/shorts/R-75FkaPPDU

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