・ビットコイン(BTC)は9月上旬に付けた8万2000ドル前後の高値から下落したものの、先物の建玉は530億ドルを上回る水準を維持している。
・原油先物の価格曲線が期先に向かって低下していることから、市場は目先では原油価格の高止まりが続くものの、2027年6月までに75ドル付近へ下落すると予想していることがうかがえる。
・予測市場では下落へのヘッジが強まっており、9月中にBTCが7万5000ドルを下回る確率は64%となっている。一方、8万5000ドルに到達する確率は38%にとどまる。
CPI発表を前にBTC現物価格が下落、先物トレーダーは底堅さを維持
BTC価格は木曜日、約7万6500ドルで取引を終えた。24時間で2.23%下落し、過去14日間で最大の下落率を記録した。
BTCは9月4日にCoinbaseで8万2280ドルを付けて月間高値を更新したが、そこから約7%下落している。
現物市場では4日連続で日足が下落しているものの、先物市場のトレーダーは比較的底堅い姿勢を維持している。
先物建玉は9月4日から6日にかけて570億ドルから534億ドルへ減少したが、その後4営業日にわたり530億ドル前後で推移している。

建玉とは、決済されずに残っている先物および無期限先物契約の総額を示す。
通常、価格下落と同時に建玉が大幅に減少した場合、トレーダーがポジションを閉じたり、レバレッジ取引から強制的に退出させられたりすることで、大規模なレバレッジ解消が進んでいることを意味する。
しかし、現在は同程度のレバレッジ解消は起きていない。BTCの現物価格が下落する一方、建玉は比較的安定している。
この市場構造により、BTCは相反する2つの可能性に直面している。
先物市場が安定していることはBTC価格を一定程度支える要因となるものの、デリバティブ市場のポジションだけでは、現物需要の長期的な悪化を補うことはできない。
一方、建玉が高水準を維持したままBTC価格が下落を続ければ、強制清算が相次ぎ、価格下落がさらに加速するリスクが高まる。
特に、CPIの結果が市場予想から大きく外れ、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利見通しが急速に修正された場合、このリスクは一段と高まる可能性がある。
IEA、世界の石油需要鈍化を予測──原油価格の激しい変動は沈静化か
BTCの相対的な底堅さを支える要因として、原油先物の価格曲線が期先に向かって低下していることが挙げられる。
これは、市場が最近の原油価格急騰について、短期的には続くものの、年末に向けて徐々に緩和するとみていることを示している。
MarketWatchのデータによると、10月限の原油先物価格は98.88ドルで、9月11日に記録した日中安値98.75ドルをわずかに上回っている。12月限は90ドル付近まで低下し、1月限は約87ドルとなっている。

原油先物価格はさらに期先になるほど低下し、2027年6月には約75ドルとなっている。
この価格曲線からは、市場が現在の原油価格ショックを長引く可能性はあるものの、恒久的なものではないとみていることがうかがえる。
原油価格の激しい変動が短期間で収束する可能性を裏付ける材料も出ている。
Bloombergによると、国際エネルギー機関(IEA)は石油需要見通しを下方修正した。イランでの戦争が長期化し、消費者が供給逼迫に対応するにつれて、石油消費がさらに減少する可能性があると警告している。
さらに、米国が新たな制裁を通じてイランとの対立で経済的圧力を強めていることは、金融上の検閲に耐性を持つ資産としてのBTCの価値を意識させる材料にもなっている。
原油価格が100ドル付近にとどまる一方、CPIが市場予想を上回れば、ドル高と米国債利回りの上昇につながり、BTCにとって短期的な大きな逆風となる可能性がある。
一方、CPIが原油高にもかかわらず経済が底堅さを保っていることを示せば、FRBへの圧力が和らぎ、追加利上げ観測の後退とともにBTCが回復する可能性がある。
インフレ率が予想を下回れば、最近強まっている金融引き締め観測が後退し、ETFへの需要が回復するとともに、大口投資家が再び買い増しに動く可能性もある。
反対に、CPIが予想を上回れば逆の展開となる可能性が高く、特に原油価格が100ドルを上回る状態が続けば、BTCへの下押し圧力は一段と強まりそうだ。
BTC価格予測:予測市場では9月中の7万5000ドル割れを警戒
BTCのテクニカル面と予測市場の動きは、9月3日に付けた直近高値8万2200ドルから下落して以降、慎重な方向へ傾いている。
Polymarketでは現在、BTCが9月中に7万5000ドルを下回る確率を約64%とみている。
この変化は、原油価格の上昇、大口投資家による買い増しの弱まり、FRBの政策見通しの変化によって、現在の調整局面が長引くとの懸念が強まっていることを示している。

7万7500ドルについては、さらに強い下落予想が示されている。
市場ではBTCが7万7500ドルを下回る確率を約90%とみており、その予想確率は24%上昇している。
そのため、7万7500ドルは短期的な市場心理を測る重要な水準となりつつある。
一方、BTCの上昇余地に対する期待も依然として残っている。
Polymarketでは、BTCが9月中に8万ドルに到達する確率を約80%とみているものの、その確率は約11%低下している。
8万2500ドルに到達する確率は約56%で、約10%低下した。8万5000ドルに到達する確率は約38%となっている。
こうした確率分布からは、トレーダーが強気シナリオを完全に放棄したわけではないものの、9月3日の高値形成後、下落リスクに備える動きが強まっていることが分かる。
現在の市場分布から判断すると、短期的な攻防の中心は7万7500〜8万ドルのレンジとなる。
大口投資家による買い増しは停滞し、ETF需要も弱まっている。予測市場でも7万5000ドル割れに備える動きが強まっている。
それでも先物建玉は530億ドルを上回っている。
こうしたファンダメンタルズを背景に、9月11日に発表されたCPIは特に重要な材料となった。
下値では7万5000ドルが重要な目標水準となり、上値では8万2500ドルが本格的な回復を判断するうえで注目すべき水準となる。
いずれかの水準を明確に突破するまでは、BTCは弱まる現物需要と比較的底堅いデリバティブ市場のポジションの間で方向感を欠く展開が続くとみられる。CPIの結果が、どちらが主導権を握るかを左右する可能性が高い。
8万ドルを回復すれば、予測市場における弱気姿勢は後退し、先週の高値である8万2500ドル付近が再び意識される。
8万2500ドルを明確に上抜ければ、8万5000ドルへの上昇余地が再び開ける。Polymarketでは現在、8万5000ドル到達の確率を38%とみている。
一方、終値ベースで7万7500ドルを継続的に下回れば、強まりつつある下落予想が裏付けられ、次の重要な心理的節目として7万5000ドルが意識されることになる。
