なぜ私は「秋は下落圧力がかかりやすい」と見ているのか──日経新聞に掲載された2つのコメントを解説【エックスウィン】

9月1日、日本経済新聞の「ビットコイン、息切れの秋? 遅れる法整備や利上げ観測が圧迫」という記事で、今後のビットコイン市場についてコメントする機会をいただいた。

記事では、私のコメントが2カ所掲載されている。

一つ目は、11月の米中間選挙を控えた市場について、

「投資家が持ち高を縮小し、下落圧力がかかりやすい」

というもの。

もう一つは、米国の暗号資産市場構造法案、いわゆるCLARITY Actについて、

「成立が遠のけば、市場では短期的に失望売りが優勢になる」

というコメントだ。

この2つに共通するのは、ビットコインそのものの価値が低下するという話ではない。私が警戒しているのは、2026年秋にかけて、「政治、金融政策、規制、そして投資家ポジションという複数の不確定要素が同時に重なっていること」である。

今回は、日経新聞に掲載された2つのコメントについて、その背景を少し詳しく説明したい。

「中間選挙だから下がる」と考えているわけではない

過去を見ると、米国の中間選挙が行われた2018年、2022年には、秋から年末にかけてビットコインが大きく下落した。こうしたデータから、「中間選挙年はビットコインが下落する」という説明も見られる。

しかし、私はこの見方をそのまま相場予測に使うことには慎重である。ビットコイン市場の歴史そのものがまだ短く、中間選挙と重なる事例も非常に少ない。

同じ理由から、いわゆる「ビットコイン4年サイクル」についても、私はそれだけを根拠に今後の相場を判断していない。

半減期によって新規供給量が減ることは事実であり、需給に一定の影響を与える可能性はある。しかし現在のビットコイン市場には、現物ETF、機関投資家、企業財務、デリバティブ市場など、過去のサイクルにはなかった巨大な資金経路が存在する。

市場構造は明らかに変化している。そのため、「過去4年ごとにこう動いたから、今回も同じになる」という考え方には注意が必要だと私は考えている。

私が見ているのは「政治的不確実性」

では、なぜ中間選挙を警戒しているのか。理由は、選挙そのものではなく、選挙前に市場の不確実性が高まりやすいことにある。

11月の米中間選挙では、議会の勢力図が変わる可能性がある。

それによって、

暗号資産政策
財政政策
規制政策
税制
トランプ政権の政策遂行力

などにも影響が及ぶ。

投資家にとって最も対応しにくいのは、「悪いニュース」そのものではない。結果が分からない状態が長く続くことだ。こうした環境になると、特に機関投資家はポートフォリオ全体のリスク量を調整する。

例えば、

新規の買いを控える。

レバレッジを落とす。

利益の出ているポジションを一部確定する。

現金や国債などへ資金を移す。

こうした行動が増える。

これが、私が日経新聞で述べた

「投資家が持ち高を縮小する」

という意味である。

相場は「大量の売り」がなくても下がる

ここは非常に重要である。ビットコインが下落するために、必ずしも大量の売却が必要なわけではない。価格は買い手と売り手のバランスで決まる。

例えば、それまで100の買い需要に対して100の売りが存在していた市場で、政治的不透明感によって新規買いが70に落ちれば、それだけで価格には下押し圧力がかかる。

特にビットコインは、デリバティブ市場の影響が大きい。現物市場で買いが薄くなったところに先物市場のロング解消が重なると、清算によって下落が増幅される場合がある。

したがって私が中間選挙前に見ているのは、「売り手が急増するか」ではなく、「買い手が今までと同じ強さを維持できるか」である。8月に上昇したからこそ利益確定も出やすい。

今回さらに注意したいのは、ビットコインが8月に大きく上昇したことである。8月下旬には8万ドル台を回復し、多くの投資家が再び含み益を持つ状態になった。

価格が上昇すること自体は当然ポジティブである。

しかし同時に、「利益を確定できる投資家が増えた」という意味でもある。価格上昇後に政治的不透明感や金利上昇が重なると、「一度利益を確定して選挙後に入り直そう」という判断が増えても不思議ではない。

これは市場心理として非常に自然な動きだ。「ETFは現在のBTC市場を見る上で最重要指標の一つ」現在のビットコイン市場を見る上で、私が重要視しているのが米国現物ビットコインETFへの資金フローである。

8月にはETFへの強い資金流入が続き、今回のBTC上昇を支える重要な要因になった。一方で8月28日には、それまで続いていた純流入が純流出へ転じる場面もあった。その後、8月31日には再び資金流入が確認されている。

つまり、機関投資家がビットコインから完全に離れたわけではない。

むしろ現在は、強い需要は存在するものの、金利や政治情勢によって資金フローが変化しやすい状態と見るべきだろう。

今後ETFへの純流入が再び継続すれば、秋の調整リスクを吸収する大きな力になる。逆にETFが継続的な流出へ転じれば、市場を見る上で重要な警戒シグナルになる。

最大の変数はやはり米金融政策

今回の相場で、中間選挙以上に重要だと考えているのが米国の金融政策である。ビットコインは金利を生まない。そのため米金利が上昇すれば、国債などの利回りを得られる資産と比較した際の保有コストが高くなる。

さらに金融市場では、

米金利上昇
→ ドル高
→ 世界の流動性縮小
→ リスク資産への資金流入鈍化

という動きが起こりやすい。

今のビットコインは、かつてのように暗号資産市場だけを見て分析できる資産ではなくなった。

ETFを通じて伝統金融市場と接続したことで、

米国債利回り
ドル指数
FRB
株式市場
ETF資金フロー

を見る重要性が非常に高まっている。

その意味では、2026年秋のビットコイン相場について、私は「4年サイクル」よりも流動性サイクルを重視している。

もう一つの不確定要素がCLARITY Act

日経新聞でもう一つコメントしたのが、米国の暗号資産市場構造法案「CLARITY Act」についてである。この法案は、暗号資産市場にとって極めて重要だ。

米国では長年、
どの暗号資産が証券なのか。
どこからCFTCが監督するのか。
どこまでSECの管轄なのか。
暗号資産取引所はどのルールに従えばいいのか。

という問題が続いてきた。

CLARITY Actは、その境界線を法律として整理しようとするものだ。

米下院では2025年7月17日、294対134という大差で可決された。

さらに2026年5月には上院銀行委員会も法案を前進させている。

したがって、「米国の暗号資産法整備が完全に止まっている」と理解するのは正確ではない。制度整備そのものは前進している。問題は、そのスピードである。市場が見ているのは「成立するか」だけではない。

金融市場では、良いニュースが発表された瞬間に価格が上がるとは限らない。市場は常にその前から期待を織り込む。米国で暗号資産規制が明確になる。金融機関が参入しやすくなる。取引所や暗号資産企業が事業を拡大できる。機関投資家の資金が入りやすくなる。

こうした期待はすでに暗号資産市場の一部に織り込まれている。

だからこそ重要なのは、「成立するかどうか」ではなく「市場が想定している時期に成立するかどうか」である。

成立時期が後ずれすれば、「2026年中に成立すると考えていたが、もっと時間がかかるのではないか」という期待修正が起きる。その場合、短期的にはポジションを落とす投資家が出てくる。

これが日経新聞でコメントした、

「成立が遠のけば、市場では短期的に失望売りが優勢になる」

という意味である。

CLARITY Actの遅れはBTCよりアルト市場への影響が大きい

もっとも、CLARITY Actの影響についてはビットコインとその他の暗号資産を分けて考える必要がある。ビットコインについては、米国でも他の暗号資産と比べて法的位置づけが比較的明確である。

そのためCLARITY Actによる直接的な影響は、むしろ、

アルトコイン
暗号資産取引所
ブローカー
DeFi
トークン発行企業

などの方が大きいと考えている。

ただし暗号資産市場全体の期待が後退すれば、BTCにも影響する。市場全体のリスク許容度が低下すれば、最も流動性の高いビットコインが現金化の対象になることもあるからだ。

その意味でBTCへの影響は、直接的な規制リスクというより、暗号資産市場全体のセンチメントを通じた間接的な影響として見るべきだろう。私は「弱気相場入り」を予想しているわけではない。

最後に、この点は明確にしておきたい。

今回の日経新聞でのコメントは、

「これからビットコインが長期的な弱気相場に入る」

という予想ではない。

むしろ私は、現在のビットコイン市場は過去とはかなり異なると考えている。

現物ETFによる機関投資家需要。

企業によるBTC保有。

カストディインフラの整備。

米国における規制明確化の流れ。

こうした構造変化は、これまでのサイクルにはなかった。

そのため、過去の2018年や2022年と2026年を単純に比較することにも慎重である。

一方で短期的には、

FRBの金融政策

米金利

ドル

ETF資金フロー

中間選挙

CLARITY Act

という複数の重要材料が同時に動いている。だからこそ、2026年秋については一方向に強気になるよりも、市場のリスク許容度を確認しながら判断する必要がある。

私が特に見るのは、「誰が売っているか」以上に「誰が今の価格でも買い続けているか」

である。ETFへの資金流入が続き、現物需要が売りを吸収できるのであれば、8万ドル突破から次の上昇局面へ進む可能性は十分にある。逆に、金利上昇と政治的不透明感によって新規買いが細れば、一度大きめのポジション調整が入る可能性もある。

2026年秋のビットコイン市場を見る上で重要なのは、4年というカレンダーではない。流動性と資金フローが、どちらを向いているか。

私はそこを最も重要視している。

ショート動画

ビットコイン、秋は下落する? 日経新聞で語った「2つのリスク」
https://youtube.com/shorts/OQuen2odFtw

PR

ボーナスで始めるのにおすすめな国内暗号資産取引所3選

取引所名特徴

Coincheck
500円の少額投資から試せる!】
国内の暗号資産アプリダウンロード数.No1
※対象:国内の暗号資産取引アプリ、データ協力:AppTweak
銘柄数も最大級 、手数料も安い
無料で口座開設する

bitbank
【たくさんの銘柄で取引する人向け】
◆40種類以上の銘柄を用意
◆1万円以上の入金で現金1,000円獲得
無料で口座開設する

bitFlyer
初心者にもおすすめ】
◆国内最大級の取引量
◆トップレベルのセキュリティ意識を持つ
無料で口座開設する