・ズベルバンクは、デジタル資産担保融資の対象をビットコインだけでなく、イーサリアムやテザーにも広げる計画だ。
・同行は2025年12月、暗号資産マイニング企業インテリオン・データと、同社が採掘したビットコインを担保とする法人向け融資を試験的に実施した。
・9月1日施行の新法は暗号資産の担保設定を制度上認めており、ロシア中銀が公開流通を認めれば、ズベルバンクは、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、テザー(USDT)を担保対象に加える計画だ。
ズベルバンク、暗号資産担保融資をビットコイン以外にも拡大へ
ロシア最大手の銀行ズベルバンクは、デジタル資産を担保とする融資商品の開発を計画している。ビットコイン、イーサリアム、テザーなどが担保として利用される可能性がある。
ズベルバンク経営委員会副会長のアナトリー・ポポフ氏は、同行にはすでに暗号資産を取り扱った実務経験があると述べた。
「われわれはこれに備えて以前から準備を進めており、すでに暗号資産を取り扱った実務経験もある」とポポフ氏は、東方経済フォーラムを前に行われたタス通信のインタビューで語った。
ロシアの新たな暗号資産関連法が全面的に施行されれば、ズベルバンクは既存の商品を新制度に合わせて改良する方針だという。
同行はまず、すでに構築しているビットコイン担保融資の仕組みを活用し、将来的には担保として認めるデジタル資産の種類を増やす計画だ。
「担保として受け入れる対象をビットコインだけでなく、イーサリアムやステーブルコインであるテザーにも広げる予定だ」とポポフ氏は述べた。ただし、ロシア中央銀行がこれらの資産を取引所での流通対象として認めることが前提になるという。
ズベルバンクの計画は、以前に実施した法人向け融資の実証実験を土台としている。
2025年12月、同行は暗号資産マイニング企業AOインテリオン・データと、同社が採掘したビットコインを担保とする融資の試験運用を実施した。
同社は自社で採掘したビットコインを担保として差し入れ、ズベルバンクはRutokenのハードウェアソリューションを用いた独自のカストディ体制で、その資産を保管した。
融資額は公表されていない。
しかし、この実証実験により、ズベルバンクはカストディ、担保価値の監視、借り手が債務不履行に陥った場合の手続きなど、暗号資産担保融資に欠かせない複数の重要な仕組みを検証できた。
同行は、このモデルを将来的に暗号資産マイニング企業だけでなく、デジタル資産を保有するほかの企業にも広げられるとの見方を示している。
そうなれば、暗号資産担保融資は実験的な資金調達手段から、より幅広い法人向け融資商品へと発展する可能性がある。
今回の拡大計画の背景には、ロシアの銀行各行が、整備の進む国内の暗号資産規制市場にデジタル資産をどのように組み込めるか模索していることもある。
ロシアの新規制、デジタル資産の担保利用に道
ズベルバンクが計画を打ち出したのは、ロシアが暗号資産に関する新たな規制枠組みの導入を控えるなかでのことだ。
ウラジーミル・プーチン大統領は、8月4日、連邦法第282-FZ号に署名した。主要規定は2026年9月1日に施行される。この枠組みでは、認可を受けた取引施設で売買できる暗号資産をロシア中央銀行が決定する。
中央銀行は、最初に対象とする資産としてビットコイン、イーサリアム、テザーを提案した。その選定にあたっては、時価総額、取引高、海外取引所における少なくとも5年分の価格履歴などが考慮されている。
暗号資産を担保として利用することと、通貨として利用することの違いは、引き続き重要だ。
この枠組みのもとでも、ロシア国内で暗号資産を決済に使用することは禁止される。一方、一部の対外貿易については例外が認められる。
この区別により、暗号資産を国内の決済手段とすることなく、銀行がデジタル資産を活用した融資商品を構築できる可能性が生まれる。
2月、ソフコムバンクはビットコイン担保融資を正式な商品として提供し始めたロシア初の銀行となった。ロシア最大の貸し手であるズベルバンクがこのモデルの本格展開を目指していることから、今回の計画は一層重要な意味を持つ。
一方、個人投資家の参加には引き続き厳しい制限が設けられる。非適格投資家が暗号資産を購入するには知識テストに合格する必要があり、認可を受けた仲介業者1社につき、年間30万ルーブル(約57万円)まで購入できる。
この年間30万ルーブルの上限は、非適格投資家が仲介業者を通じて暗号資産を購入する場合に適用されるもので、暗号資産担保融資そのものの上限ではない。ズベルバンクは、マイニング企業だけでなく、暗号資産を保有するほかの企業にも同モデルを広げる方針を示している。
「財務省のデータによると、2月時点におけるロシア国内の暗号資産取引額は1日当たり約500億ルーブルで、年間ではおよそ18兆ルーブルに上る。ズベルCIBインベストメント・リサーチのアナリストは、かなり保守的な予測を示している。合法化後の初年度には、この取引額の約20%に当たる年間3兆5000億~4兆ルーブルが取引所で売買されると見込んでいる。この額は2028年までに4兆7500億~5兆2500億ルーブル、2029年までには7兆5000億ルーブルに増える可能性がある」とポポフ氏はタス通信に語った。
ズベルバンクは、ウォレットや取引インフラの整備と並行して、2026年12月1日までに規制下のデジタル・デポジトリー(暗号資産の権利記録機関)を設立することも目指している。
また、同行独自のブロックチェーン基盤では、デジタル金融資産の発行が大幅に増加している。報道によれば、2025年の発行額は約5.6倍の4080億ルーブルに達した。
ポポフ氏は別の機会に、規制下での暗号資産取引額が初年度に3兆5000億~4兆ルーブルに達する可能性があると試算している。ただし、これらの数字は現時点ではあくまで予測だ。


