ケネディクス(KDX)、KDX STパートナーズ(KST)、Progmat、Datachainの4社は7月31日、パブリックブロックチェーンとステーブルコイン(SC)を活用した、新たなデジタル証券(セキュリティ・トークン、ST)スキームの実現に向けて協業すると発表した。
商用化に向けた実証実験の第1段階として、発行体と投資家が仲介者を介さず、STの受け渡しとSCによる代金決済を同時に行うDvP(Delivery versus Payment)取引を検証した。
第2段階としては、投資家が保有する不動産STを担保に、24時間いつでも資金を借り入れられる仕組みの検証を行うという。第2段階を実施した場合、その結果も踏まえて2026年内に商用化の可否を判断する予定だ。
Avalancheの異なるチェーン間でSTとSCを同時決済
第1段階の実証実験を一言で表すなら、異なるブロックチェーン上で発行した不動産STとステーブルコイン(SC)を、1つのウォレットで同時に交換する仕組みを検証したものだ。
STの発行・管理には、Progmatが提供するデジタルアセット発行・管理基盤「Progmat」を使用し、STとSCの交換には、ProgmatとDatachainが共同提供するクロスチェーンDvPソリューションを活用した。
投資家向けウォレットは、商用化後にKDX STパートナーズ(KST)が提供することを想定し、その機能をProgmatとDatachainがWaaS(Wallet as a Service)として用意した。
実証では、KSTがアセットマネージャーを務める仮想ファンドを設定し、ケネディクス(KDX)がST投資家およびSC利用者の役割を担った。
ST発行には合同会社-匿名組合、いわゆる「GK-TK」スキームを採用し、合同会社(GK)の匿名組合(TK)出資持分を裏付けとする不動産STを、Avalanche C-Chain上に発行。決済に使うSCは、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)が想定する信託型SCの規格に基づき、Avalanche L1上に発行した。
なお、今回使用したのは実際のSTやSCではなく、それぞれを模した検証用トークンで、プロトタイプのウォレットアプリの動作を確認した。
ファンドではなく、投資家がレバレッジ
4社が構想するのは、不動産のみならず、航空機、船舶などを裏付けとするSTの発行体と投資家が直接つながり、ステーブルコインで決済できる市場だ。さらに、従来の不動産STではファンド段階で借り入れを行うことが一般的だったが、新たなスキームでは、投資家自身が保有するSTを担保に資金を借り入れることを想定する。
投資家段階でレバレッジをかけられるようになれば、発行体側は借り入れを行わないフルエクイティ型や、満期を設けない無期運用型など、裏付け資産の現物保有に近いSTを設計できる可能性があるという。
まずは事業法人など特定投資家向けの私募形式を前提とし、従来の個人投資家向け不動産STとは異なる商品性や投資機会の創出を目指す。
日本経済新聞は30日、商用化にあたって円建てステーブルコインのJPYCやJPYSC、米ドル建てのUSDCへの対応も計画していると報じていた。今回の発表では、実際に利用するステーブルコインやサービスの開始時期は明らかにしていない。
今回の取り組みは、検証用トークンを使った実証段階にある。だが、不動産STを単に発行・販売するだけでなく、ステーブルコインによる即時決済や担保融資へと広げる構想は、日本のRWAトークン化を「資産のデジタル化」から「金融機能の拡張」へ進める試みだ。
|文:NADA NEWS編集部
|画像:プレスリリースより


