ブラックロックのビットコインETFから資金流出──IBITの7週連続流出が示す市場の変化【エックスウィン】

● ブラックロックの米国現物ビットコインETFであるIBITは、5月中旬以降、7週連続で週次純流出となり、累計流出額は約53億ドルに達した。
● 今回の流出はIBIT固有の問題というより、ビットコイン価格下落、ドル高、高金利観測、先物ベーシス縮小、ETF全体のリスク削減が重なった結果と考えられる。
● エックスウィンでは、今後の焦点はIBITフローが反転するか、BTCが60,000ドル前後を維持できるか、そしてCME先物ベーシスとドル指数が改善するかにあると考えている。

米国の現物ビットコインETF市場で、重要な変化が起きています。

これまでビットコイン市場の最大の買い手の一つとして注目されてきたブラックロックのiShares Bitcoin Trust ETF、通称IBITから、資金流出が続いているのです。

Bar chart titled 'BlackRock IBIT Weekly Fund Flow Trend' showing weekly fund flows in US$ millions from April 10 to June 26, with fluctuating positives and negatives. Source: Farside Investors.
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添付チャート「ブラックロック IBITの週次フロー推移」によるとIBITは2026年5月中旬から6月下旬にかけて7週連続で純流出となりました。この7週間の累計流出額は約53.3億ドルに達しています。

特に6月22日週は、木曜日時点で約8.6億ドルの流出でしたが、金曜日分を含めると週通期では約13.0億ドルの流出となりました。つまり、速報値で見えていた以上に、週末時点では資金流出が拡大していたことになります。

ただし、ここで重要なのは、これを単純に「ブラックロックのETFが失敗している」と見るべきではないという点です。

Stacked area chart of Bitcoin ETF holdings over time (Mar 2024–Jul 2026), showing total rising toward 1M+ units with multiple providers represented by color layers (CryptoQuant data).

添付チャート「【ビットコインETF】ビットコイン保有残高の推移(GBTCを除く)」でもわかる通り、IBITは依然として約448億ドル規模の純資産を抱える最大級のビットコインETFです。プレミアム/ディスカウントも小さく、市場機能が壊れているわけではありません。

今回の流出は、むしろ現物ビットコインETF市場全体におけるリスク削減の一部として捉えるべきでしょう。

背景には複数の要因があります。

第一に、ビットコイン価格そのものの下落です。BTCは5月下旬の7万ドル台半ばから6月下旬には6万ドル近辺まで下落し、IBIT価格もほぼ同じペースで下落しました。ETFはビットコイン価格に連動する商品であるため、BTC価格が下がればETF価格も下がり、投資家のリスク削減につながります。

第二に、マクロ環境の悪化です。米国では強い雇用統計やインフレ懸念を背景に、高金利の長期化が意識されています。ドル指数も上昇傾向となり、リスク資産全体に逆風が吹いています。ビットコインETFも例外ではありません。

第三に、先物ベーシスの縮小です。CMEビットコイン先物の対スポット・ベーシスは、5月末にはプラスでしたが、6月末にはマイナス圏に近づきました。これはキャッシュ・アンド・キャリー取引の魅力が低下したことを意味します。ETFを利用した裁定取引や機関投資家のポジション構築意欲も弱まりやすくなります。

第四に、ETF市場全体のデレバレッジです。IBITだけでなく、FidelityのFBTC、GrayscaleのGBTC、BitwiseのBITB、ARKBなどでも資金流出が確認されています。つまり、今回の動きはIBIT単独の問題ではなく、米国現物ビットコインETF全体でポジション整理が進んでいる局面と考えられます。

もっとも、IBITの存在感が大きいからこそ、流出額も目立ちます。過去12週間の上位ETF合計流出額のうち、IBITは約半分を占めています。これはブラックロックが「最大の資金流入先」であった一方で、市場調整時には「最大の資金流出源」にもなり得ることを示しています。

エックスウィンでは、今回のIBIT流出をビットコイン市場における重要なストレステストと見ています。

これまで市場では、現物ETFへの資金流入がビットコイン価格を支える最大の材料とされてきました。しかし現在は、そのETFフローが逆回転しています。

今後の焦点は明確です。

IBITの日次・週次フローが再びプラスに戻るか。米国現物ビットコインETF全体の合計フローが改善するか。BTCが60,000ドル前後を維持できるか。CME先物ベーシスが再びプラス圏へ戻るか。そしてドル指数と米10年債利回りが落ち着くか。

これらが改善すれば、今回の流出は一時的なポジション整理として整理できるでしょう。

一方で、BTCが58,000ドルを明確に割り込み、ドル高や高金利環境が続けば、ETFからの流出がさらに価格下落を増幅する可能性もあります。その場合、次の重要ゾーンは50,000ドル台前半になると考えられます。

現時点では、エックスウィンではベースケースとして「流出は続くが、徐々に鈍化する」シナリオを想定しています。

IBITの流出は確かに大きな警戒材料です。しかし、それはETF市場の構造的な崩壊ではなく、価格下落局面における大型プロダクトの資金調整と見るのが現実的です。

ビットコイン市場は、ETF時代に入りました。

その意味で、今後の相場を見る上では、オンチェーンデータだけでなく、ETFフロー、先物ベーシス、ドル指数、金利といった伝統金融側のデータを同時に見ることがますます重要になっています。

■ショート動画

ビットコイン、ブラックロックが売っている? IBIT 7週連続流出の真相
https://youtube.com/shorts/i4X9uvtLXcQ

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