SBIグループは6月24日、日本円に連動する信託型ステーブルコイン「JPYSC」を発行し、SBI VCトレードの口座内限定で先行提供を開始したと発表した。
イーサリアム(Ethereum)ブロックチェーンエクスプローラーのEtherscan(イーサスキャン)によると、18時8分時点の発行量は38億JPYSCだった。
1JPYSC=1円での連動を目指す設計で、38億円相当の円建てステーブルコインが初期発行された形となる。
JPYSCは、SBI新生信託銀行が発行者となり、SBI VCトレードが流通を担う円建てステーブルコイン。信託銀行が裏付け資産を管理する信託型の円建てステーブルコインとしては国内初となる。
信託型のJPYSCは、資金移動業型のステーブルコインとは異なり、滞留・送金にかかる100万円制限を受けない。このため、大口の資金移動や法人決済での活用が見込まれる。
SBI VCトレードは、JPYSCの保有者向けにレンディングサービスを近日中に開始する予定だという。
信託型ステーブルコイン誕生までの経緯
日本では、2023年6月に改正資金決済法が施行され、ステーブルコインは暗号資産とは別の「電子決済手段」として制度上整理された。発行主体は銀行、信託会社、資金移動業者などに限定される。
SBIとStartale(スターテイル)グループは2026年2月、JPYSCについて2026年6月までのローンチを目指すと発表していた。
今回提供が始まったJPYSCを通じてSBIは、国内外のオンチェーン金融市場における円建て決済・流動性基盤の構築を目指す方針だ。
JPYCとJPYSCの違い
JPYCとJPYSCはいずれも、日本円と1対1で連動することを目指す円建てステーブルコインだ。ただし、制度上の類型や現時点での利用範囲、想定されるユースケースは異なる。
JPYCは、資金移動業型のステーブルコインとして、個人や事業者による送金、決済、Web3サービスでの利用を広げてきた。
一方、JPYSCは信託銀行が発行体となる信託型で、法人や機関投資家による大口決済、円建て資金の運用・調達、トークン化資産の決済などでの活用が見込まれる。
主な違いは以下の通り。
| JPYC | JPYSC | |
| 類型 | 資金移動業型 | 信託型 |
| 法的区分 | 1号電子決済手段 | 3号電子決済手段 |
| 発行体 | JPYC社 | SBI新生信託銀行 |
| 主導 | JPYC社 | SBIグループ、Startale Group |
| 送金・滞留の金額制限 | 100万円制限あり | 法定上限なし |
| 主なターゲット | 個人 | 機関投資家、企業 |
| 想定用途 | 送金、決済、Web3サービス | 大口決済、オンチェーン外国為替、RWA決済 |
| 発行開始日 | 2025年10月27日 | 2026年6月24日 |
リリースでは、パブリックチェーン移行後に想定されるJPYSCの主なユースケースも示された。
具体的には、JPYSCを円建ての基盤資産として活用し、米ドル建てステーブルコインなどとの流動性プールを形成するオンチェーン外国為替市場、機関投資家向けレンディング、オンチェーン・キャリートレード、RWA・トークン化資産の決済などが挙げられている。
また、国内の決済ネットワークやカード発行会社、加盟店精算インフラなどとの連携を通じたリテール向け国内決済、クロスボーダー送金・国際決済、OTC取引や機関投資家向け流動性の分野での活用も検討するという。
先行提供の時点ではSBI VCトレードの口座内での利用に限定され、外部ウォレットへの移転はできない。
各社は、関係法令や税務実務上の取り扱いが整理され次第、監督当局の確認を前提に、パブリックチェーン上での流通に移行する方針だ。
SBIホールディングス代表取締役会長兼社長の北尾吉孝氏は「金融機能のオンチェーン移行が不可逆的に進む中、オンチェーンに対応できる決済手段の創出はいち早く解決するべき課題です。世界でしのぎを削る競合を相手にスタートラインに立てたことに関して非常に嬉しく思います」とコメント。
Startaleグループ CEOの渡辺創太氏は「オンチェーン金融はグローバルな潮流であり、米国が威信を賭けて国家政策として取り組んでいるように、我が国においても極めて重要な戦略領域であると認識しています。その中で、日本円ステーブルコインはまさに一丁目一番地の取り組みです」とコメントした。
|文:NADA NEWS編集部
|画像:リリースより



