・イーサリアム(ETH)のステーキング預入は過去90日間で約200万ETH増加し、ステーキング済みETHの総量は過去最高の3960万ETHに達した。
・同期間に価格は21%下落したものの、イーサリアムはトークン化された現実資産(RWA)や予測市場など、急成長分野で引き続き支配的な地位を維持している。
・イーサリアム財団内のリーダーシップ層の退任は短期的な弱気観測を強めているが、長期的なネットワーク参加指標は過去最高水準に近い状態を保っている。
イーサリアム2.0のステーキング、ETH価格20%下落のなか過去最高の3960万ETHに到達
ETHのステーキング活動は2026年6月18日、過去最高水準に達した。価格の軟調な推移が続くなかでも、過去90日間にわたって資金流入が続いている。
ValidatorQueueのダッシュボードによると、ステーキング済みETHの総量は6月18日に過去最高の3,960万ETHまで増加した。過去3カ月で約190万ETH増えたことになる。現在のETH価格を1ETHあたり約1,700ドルとすると、ステーキング資産の総額は670億ドルを超える。

2026年6月中旬時点で、ETHの総供給量の約33%がステーキング契約にロックされている。これは、イーサリアムがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へ移行して以降、最も高い参加率である。
最近のステーキング預入を押し上げている主な要因の一つが、BitMine Technologies(BNMR)を中心とする機関投資家によるステーキング利回りへの需要だ。6月16日の最新開示によると、BitMineは現在471万8,677ETHをステーキングしている。ETH価格を1,718ドルとした場合、ステーキング資産は約81億ドルに相当する。同社会長のトム・リー氏によると、現在のステーキング利回りを前提に、年間ステーキング報酬は約2億6,900万ドルと見込まれている。
機関投資家の需要は、上場投資商品を通じても広がっている。BlackRockの「iShares Staked Ethereum Trust ETF(ETHB)」は、2026年6月18日時点で運用資産残高が約5億3,100万ドルだった。
同ファンドは約4億4,300万ドル相当のステーキング済みETHを保有しており、その数量は約250,401ETHに相当する。これに加えて、約1億1,300万ドル相当の未ステーキングETHも保有しており、合計エクスポージャーは約31万4,000ETH相当となる。ETHBは現在、Coinbase Primeを通じて資産の70〜95%をステーキングし、毎月、総ステーキング報酬の約82%を株主に分配している。
ステーキング参加の拡大は、流動性のあるETHを市場から実質的に引き上げる効果がある。これにより、利用可能な供給量が引き締まる一方で、ネットワークの安全性も高まる。
こうした増加は、同じ90日間でETH価格が約21%下落するなかで起きている。価格動向と長期的なネットワーク参加のあいだで、乖離が広がっていることを示している。
RWAと予測市場におけるイーサリアムの優位性も、相場循環に左右されにくい需要を支える
ステーキング以外でも、イーサリアムはトークン化された現実資産(RWA)と予測市場で新たな需要を集めている。いずれも2026年の暗号資産分野で最も急成長している領域の一つだ。
ステーブルコインを除くオンチェーンRWAの総価値は、2026年6月中旬時点で約324億ドルまで拡大した。1年余り前の約50億ドルから大きく増えている。イーサリアムは、トークン化RWAの主要な決済レイヤーであり続けており、RWA価値全体の約50〜60%がイーサリアム上に存在している。この分野では現在、RWA保有者が約20万人に達し、過去30日間だけで230億ドルを超える送金量を記録した。RWA.xyzのデータによるものだ。

予測市場も、ETH需要を支えるもう一つの活発な要因となっている。2月のピーク時には、主要プラットフォームであるPolymarketとKalshi全体で、同分野のステーブルコイン建てTVLは6億ドルに達した。イーサリアムは世界のステーブルコイン時価総額の約52%を占めており、予測市場の成長は間接的にイーサリアムの経済的地位を強めている。
財団関係者の退任とイーサリアム財団の再編が短期的な弱気観測を強める
長期的に見ると、イーサリアムの堅調なステーキング指標は、目先の市場悲観論に対する支えとなっている。しかし、ネットワークは現在、イーサリアム財団内のリーダーシップ変更をめぐって厳しい視線にさらされている。
直近では6月18日、Hsiao-Wei Wang氏が共同エグゼクティブディレクターの職を退いた。同氏の退任は、2026年にイーサリアムの主要貢献者の一部に影響を及ぼしてきた組織再編の大きな流れに続くものだ。
主な退任や役割変更には、2月のリーダーシップ再編に伴うTomasz Stańczak氏の就任のほか、4月から5月にかけてのJosh Stark氏、Trent Van Epps氏、Barnabé Monnot氏、Tim Beiko氏、Carl Beek氏、Julian Ma氏、Alex Stokes氏、その他複数のシニア研究者やエコシステム貢献者の退任・役割変更が含まれる。
支持者は、この再編について、イーサリアムが単一の調整主体に依存しない分散型ネットワークへ成熟したことを示すものだと主張している。
一方、批判的な見方をする人々は、Solana、Hyperliquid、特化型アプリケーションチェーンとの競争が強まるなかで、人材の入れ替わりは不確実性の要因になるとみている。
見通し:ETH市場は6月の1,500ドル割れを警戒
リーダーシップ変更は、デリバティブ市場の弱気心理にもつながっている。ステーキング参加とネットワーク利用が新高値を更新し続けているにもかかわらず、投機筋は下方向のボラティリティに備えたポジションを強めている。
予測市場も慎重な見方を維持している。Kalshiのトレーダーは現在、ETHが1,500ドルを下回る確率を約26%と見込んでいる。タカ派的なFRB政策への警戒をめぐるマクロ経済不安を背景に、この確率は13パーセントポイント上昇した。

こうした弱気バイアスは、7日間のETH清算マップにも表れている。ETHは現在1,695ドル付近で取引されている。一方、Coinglassの清算マップによると、現在価格を上回る水準にはショートポジションの清算が累計25億ドル超控えている。これに対し、スポット価格を下回る水準のロングポジションの清算は累計約15億ドルだ。
ただし、この偏りは、何らかの好材料が出れば、弱気心理が残るなかでも大規模なショートスクイーズが起きる可能性を示している。Coinglassによると、1,812ドルの清算クラスターには約5億ドルのショートレバレッジが集中しており、上値の主要な抵抗帯となっている。



