アメリカ証券取引委員会(SEC)は6月2日、2026〜2030会計年度を対象とする戦略計画案を公表した。約90年前に連邦議会が定めた中核的な使命──投資家の保護、公正かつ秩序ある効率的な市場の維持、資本形成の促進──に立ち返ることに焦点を当てた内容となっている。
計画案は3つの目標を掲げる。第1に、責任あるイノベーションと資本形成、市場効率、投資家保護を支える「目的に適った明確なルール」の整備で、情報開示の簡素化や私募市場へのアクセス拡大に加え、暗号資産(仮想通貨)と分散型台帳技術(DLT)に合理的で一貫した規制基盤を提供することを掲げた。
第2に、業界との対話強化とコンプライアンス支援、そして詐欺や相場操縦など既存法違反の摘発に立ち返る執行方針への転換。場当たり的な執行による規制範囲の拡大を避ける姿勢を示す。そして第3に、EDGARなど旧式システムの見直しを含む技術の近代化と、AI(人工知能)・ブロックチェーンの責任ある活用による業務効率化を挙げた。
Paul Atkins(ポール・アトキンス)委員長は「在任中、委員会はこの3つの使命から逸脱することはない」と表明した。そして、アメリカが「事業を行う上で最も優れ、最も安全な場所」であり続けるための規制のあり方について、市場関係者や一般からの意見提出も呼びかけた。SECは7月2日までパブリックコメントを募集している。
暗号資産業界にとっては、計画案が暗号資産とDLTに特化した目標を掲げ、トークン化やカストディ、ステーキングを過度・重複した規制なしに運用できる枠組みを目指すと明記した点が重要だ。SECは資産の成長が既存規制を上回ってきたと認め、CFTC(商品先物取引委員会)との管轄区分の明確化にも改めて言及した。
|文・編集:井上 俊彦
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