マドゥロ元大統領の逮捕めぐるポリマーケット取引で米兵を起訴──機密情報で40万ドル超の利益

アメリカ司法省(DOJ)と商品先物取引委員会(CFTC)は4月23日、分散型予測市場のPolymarket(ポリマーケット)でNicolás Maduro(ニコラス・マドゥロ)元ベネズエラ大統領の拘束に関連する契約を取引し、約40万9881ドル(約6558万円、1ドル=160円換算)の利益を得たとして、アメリカ陸軍現役兵士Gannon Ken Van Dyke(ガノン・ケン・ヴァン・ダイク)を起訴したと発表した

起訴状によると、ヴァン・ダイク被告はノースカロライナ州フォートブラッグに駐留する陸軍兵士で、2025年12月8日頃からマドゥロ氏の身柄確保を目的とした軍事作戦「オペレーション・アブソリュート・リゾルブ」の計画・実行に関与し、機密情報にアクセスできる立場にあった。同被告は12月26日にPolymarketのアカウントを作成し、12月27日から1月2日にかけて「マドゥロは1月31日までに退任するか」「アメリカ軍は1月31日までにベネズエラに展開するか」など計13件の賭けにすべて「YES」で参加。投入額は約3万3034ドル(約528万5000円)だった。彼は1月3日未明にアメリカ特殊部隊がカラカスでマドゥロ夫妻を拘束し、契約が「YES」で決済されたことで利益を得た。

その後、利益の大半を海外の暗号資産保管庫に送金し、新たに開設した証券口座に移したとされる。さらにPolymarketにアカウント削除を要請するなど、身元の隠蔽を図った疑いも持たれている。

CFTCのMike Selig(マイク・セリグ)委員長は、被告が機密情報を悪用し、アメリカの安全保障を危険にさらし、軍人の命を脅かす行動を取ったと厳しく批判した。 また、CFTCのDavid Miller(デビッド・ミラー)執行局長は、本件がイベント契約におけるインサイダー取引でCFTCが初めて提訴したケースであり、政府情報の不正使用を根拠とするいわゆる「エディ・マーフィー・ルール」の初めての適用でもあると述べた。

一方、Polymarketは不審な取引を自社で検知してDOJに通報、捜査に協力したとし、「インサイダー取引はPolymarketに居場所はない。今回の逮捕はシステムが機能している証拠だ」とXに投稿した

ヴァン・ダイク被告は商品取引所法違反3件(各最大懲役10年)、電信詐欺1件(最大懲役20年)、違法金融取引1件(最大懲役10年)で起訴されている。予測市場の急拡大に伴い、機密情報を利用した不正取引への規制当局の監視が一段と強まりそうだ。

|文・編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock

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