XRPは「投資対象」で終わるのか──RippleX幹部に聞く、RLUSD始動で問われる実需拡大と日本戦略

暗号資産をめぐる関心が、「投資」から「金融インフラ」へと移りつつある。そう語るのは、米リップル(Ripple)が展開するXRPレジャー(XRPL)の開発などを担う「RippleX」でシニア・バイス・プレジデントを務めるマーカス・インファンガー(Markus Infanger)氏だ。

NADA NEWSは昨年6月、シンガポールで開催されたXRPLのカンファレンス「Apex 2025」で同氏に取材。トランプ政権の影響やエックス・アール・ピー(XRP)の現物ETF承認の見通しなどについて聞いていた。

その後、米国では11月に複数のXRP現物ETFが上場承認され、取引が開始された。足元では、SBIグループを通じてリップルが発行する米ドル建てステーブルコイン「RLUSD」の日本展開も動き出している。

今回、7~8日に都内で開かれたWeb3とAIの国際テクノロジーカンファレンス「TEAMZ SUMMIT」および「XRP Tokyo 2026」に合わせ来日した同氏に、約10カ月ぶりに話を聞いた。新たなフェーズに入った同社が何を見据え、XRPの実需をどう捉えているのかに迫る。

XRP ETFの承認と決済ユースケース

── 前回の取材から10カ月ほど経ったが、この間のRippleとXRP Ledgerを取り巻く最大の変化は何か。

インファンガー氏:業界全体で見れば、議論の重心が「暗号資産という市場」から「ブロックチェーンを中核的な金融インフラとしてどう使うか」に移ってきたことだ。

RippleXとしても、インターネット以前の設計を引きずる古い金融システムの「配管」を改善する段階に、より深く入ってきている。滞留資金やコスト、処理の遅さ、不透明性といったオペレーションコストの問題に、ブロックチェーンをどう使うかという話だ。

象徴的なのは、XRPをめぐる環境整備が進んだこと。米国ではXRPのスポットETFが立ち上がり、強い関心を集めている。

また、SEC(米証券取引委員会)訴訟は完全に過去のものとなり、XRPの法的な位置付けも固まった。XRPLについても、現実資産のトークン化が大きく前進している。昨夏には1億〜2億ドル規模だったものが、今では20億ドル超に拡大し、実際に決済や担保移転などの用途で使われ始めている。 

── XRP ETFによって、XRPは「投資対象」として見られる度合いが強まっているようにも感じる。「決済資産」としての役割に、どう影響するだろうか。

インファンガー氏:私は両者を対立するものとは見ていない。むしろ一緒に進むものだ。

ETFを通じた機関投資家の参加は業界にとって重要で、同時に流動性を生み出す。XRPのような資産が、決済や価値移転を支える存在になるには、十分な流動性が不可欠だ。ETFによって流動性が厚くなることは、決済資産としての利用可能性を高める面がある。

長期的な価値は、暗号資産が単なる投資商品として見られるかどうかではなく、金融市場インフラの中でどう機能するかによって決まっていくと考えている。

実際、XRPLではRWA(現実資産)関連の活動が大きく増えており、そうした金融ユースケースの中でXRPが役割を果たしている。XRPはXRPL上のネイティブ資産であり、発行体を持たず、カウンターパーティーリスクもない。流動性を橋渡しする特別な立場にある。

ステーブルコイン規制をどう見ているか

── 例えばクラリティ法では、「利回り」の扱いも含め、ステーブルコインをどう規制するかが大きな論点になっている。リップルの基本的なスタンスを教えてほしい。

インファンガー氏:まず大前提として、私たちは規制に前向きだ。明確な規制は競争優位だと考えている。創業初期から世界中の規制当局と積極的に対話し、クラリティ法のような整備は、機関投資家による本格採用に必要な法的確実性を与えるものだと考えている。 

加えて重要なのは、伝統的な金融機関と暗号資産ネイティブのプレーヤーの間に、フェアな競争条件があること。法定通貨をブロックチェーン上で表現するような仕組みは、最終的には「信頼」の問題になる。だからステーブルコインは、十分な準備資産を持ち、透明性を備えていなければならない。そこが私たちの基本姿勢だ。 

RLUSDについては、ローンチ当初から、信頼とコンプライアンスの面でベンチマーク、あるいはゴールドスタンダードになることを目指してきた。バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)がカストディを担い、資産は分別管理され、デロイトによる月次のアテステーションも受けている。銀行級の基準をステーブルコインで実現するという考え方だ。 

RLUSDとXRPの関係、日本展開とSBIとの協業

── ステーブルコインが普及すると、ブリッジ資産としてのXRPは不要にならないだろうか。ユーザーは、XRPとRLUSDをどう使い分けるのか。

インファンガー氏:そうは考えていない。むしろ逆だ。RLUSDは選択肢と冗長性を増やすもので、XRPを置き換えるものではない。リップルの決済プロダクトでは、既にXRPが使われており、RLUSDが入ることで、より多くの決済ユースケースが可能になる。

また、RLUSDのような高品質の金融資産とXRPが取引されることで、XRPエコシステム全体に流動性が供給される。XRPはXRPLにおいてガストークンであり、さらに流動性の薄い資産同士をつなぐブリッジの役割も持っている。

RLUSDの拡大は、XRPを置き換えるのではなく、XRPの流動性や利用機会を押し上げる方向に働くと見ている。 

── RLUSDの日本展開に関して進捗はどうか。

インファンガー氏:計画通りに進んでいる。現在は、パイロットから本番展開へ移るフェーズにある。日本ではSBI VCトレードを通じたRLUSDの流通が予定通り進んでおり、SBIは規制承認に向けて金融庁と緊密に連携している。 

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SBIとの関係は、Rippleにとって極めて重要だ。10年以上続くパートナーシップであり、非常に強いシグナルでもある。

また、私たちは他の金融機関とも連携し、みずほ銀行やSMBC日興証券などとともに、日本の金融インフラに関するイノベーション・プログラムにも取り組んでいる。その狙いは、XRPL上で現実の金融ユースケースを実装することにある。

日本とXRPの結びつきは非常に強いと言えるだろう。世界で最も長く、最も強いコミュニティの一つだと思っている。投資対象として保有されるだけでなく、現実の経済活動や決済の中でXRPが広がることに期待している。 

国内規制とパブリックチェーン

── 日本の規制環境をどう評価しているか。

インファンガー氏:日本は早い段階から明確なルールを整備してきた国だ。2017年の資金決済法の改正はその象徴だろう。ビットコイン(BTC)やXRPを法的な財産として位置付ける方向を早くから打ち出してきた。その後もステーブルコイン法制など、金融市場インフラに関わる制度整備が進んでいる。 

いま世界では、暗号資産を「投資対象」から「金融インフラ」へと捉える転換期にある。日本でも金融機関との対話を通じて、その変化を感じているところだ。

単にイノベーションの箱にチェックを入れるための実証実験ではなく、本番環境で使いたいという需要が出てきている。それは非常に重要な変化だ。 

── 現実資産の移転や決済には、パブリックチェーンが必要だと考えているか。

インファンガー氏:私たちは以前から、インターネットと同じだと説明してきた。インターネットがこれほど普及した根本にあるのは、オープン性だ。ブロックチェーンでも同様に、公開性があることでグローバルな参加が可能になる。だから私たちは、公開されたパブリック型のブロックチェーンが重要だと考えている。

もちろん、既存の金融市場インフラに組み込むには、規制や実務上の要件にこたえる必要がある。そのためXRPLでは、許可型環境や分散型ID、プライバシー機能などを整備し、既存金融との統合を進めている。

将来の決済の「主役」は?

── 暗号資産、ステーブルコイン、預金トークンなどが並存する中で、将来の決済の「主役」は何になると見ているか。

インファンガー氏:私は共存すると考えている。どれか一つがすべてを置き換えるというより、それぞれが適した役割を持つはずだ。電子メールが普及しても郵便配達がなくならなかったのと似ている。法定通貨ベースの仕組みが引き続き重要な場面もあるだろうし、ステーブルコインが非常に適した領域もある。 

一方で、人々が暗号資産との関わりに慣れ、経済活動の中で使える場面が増えていけば、XRPのように効率性や内在的な利点を持つデジタル資産が、より自然な選択肢になっていくだろう。

投資対象であるだけでなく、実際の商取引の中で使われる方向に進む。その補完関係こそが、21世紀型の金融市場インフラを形作ると考えている。 

価格と実需のギャップ

── XRPの市場価格と、決済といった実需の間にはギャップがあるようにも見える。このギャップは埋まるのか。

インファンガー氏:私は、必ずしも“ギャップ”とまでは見ていない。投資対象としての関心は依然として高いが、実利用も着実に進んでいる。Rippleはこれまで、XRPを使って数十億ドル規模の決済を、より安く、より速く実現してきた。

また、Ripple Primeでは、XRPが担保やマージン、あるいはステーブルコイン、法定通貨、暗号資産の橋渡しとしても使われている。

つまり、断絶というよりは進化と言える。投機や投資の重力が残っているのは事実だが、いまはユーティリティを持つ資産として、金融インフラの中に埋め込まれていく移行期にあると見ている。

── RLUSDは、現時点では誰に向けたプロダクトか。銀行か、決済事業者か、取引所か。

インファンガー氏 それら複数の組み合わせになるだろうか、RLUSDは明確に、機関投資家向けの金融ユースケースを想定している。私たちが特に重視しているユースケースは二つだ。

一つは決済で、RLUSDはXRPL上にネイティブ発行されているため、数秒、しかもごく低コストで価値移転ができる。Ripple Paymentsでも、すでにその用途で使われている。 

もう一つは、トークン化されたマネー・マーケット・ファンド(MMF)や高品質流動資産の即時決済レイヤーとしての役割。例えばレポ市場のような巨大で日々の資金繰りを支える資金市場では、ステーブルコインがキャッシュレイヤーとして機能する可能性がある。私たちは、そうした領域でRLUSDを組み込む方向でパートナーと協業している。

一方で、オープンネットワークである以上、DeFi(分散型金融)や取引所などへの展開も進むと考えている。

ただ、いずれにしても、私たちが最も重視するのはコンプライアンスと信頼性にある。高い安全基準を満たすことが、RLUSDの中心的な価値となる。

|文:瑞澤 圭
|インタビュー・写真:NADA NEWS編集部

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