3月3日にスタートした「FIN/SUM 2026」では、高市早苗首相、片山さつき財務大臣の挨拶に続いて、 金融庁の伊藤豊長官が登壇した。
伊藤長官は冒頭、19世紀のSF作家ジュール・ヴェルヌの言葉「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」を引き合いに出し、今回の「FIN/SUM」のテーマ「AI×ブロックチェーンが創る 新金融エコシステム」において、AI、ブロックチェーンとともに重要なキーワードは「創る」だと述べ、「さまざまなビジネスアイデアをどう実行するか、具体的な動きにつなげていくか」が重要だと指摘した。
「座して待っていても何かが実現することはない。イマジネーションをクリエイションに変える積極的な行動が求められる」
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ステーブルコイン実証を支援、「PIP」始動
ブロックチェーン活用の具体例として言及されたのが、金融庁が昨年11月に立ち上げた「決済高度化プロジェクト(PIP)」だ。すでに2件の支援を決定しているという。
1つは、3メガバンクなどによるステーブルコインの共同発行と、商社におけるクロスボーダー送金への活用。
もう1つは、ブロックチェーンを活用した証券決済の円滑化と、ステーブルコインを用いた証券の権利移転と代金支払いの連動(いわゆる、DvP決済)だ。
いずれもブロックチェーン技術を用いた、前例のない試みであり、技術的な実現可能性、利便性、実用性、現場負担、法令遵守、リスク管理などを一つひとつ確認する必要があるとしたうえで、「そうした積み上げなくして、アイデアの具体化はない」と続けた。
決済を起点に、業務全体を変える
また伊藤長官は、ブロックチェーンの意義を金融のみにとどめなかった。
例えば、貿易分野での貨物情報共有とステーブルコイン決済の連動や、中小企業の受発注管理と代金支払いの自動連動、いわゆる「消し込み」などに触れ、「ブロックチェーンのプログラマビリティは決済を超え、業務プロセス全体の高度化につながる」と述べた。
人手不足に直面する中小企業にとって、業務効率化は喫緊の課題であり、社会全体としての意義も大きいとの認識を示した。
AIについても同様だ。金融庁が昨年開催した「AI官民フォーラム」では、抽象論ではなく、具体的な活用方法やリスク管理手法に踏み込んだ議論を行ったという。
「AI活用にチャレンジしないリスクを意識すべきだ。ゴルフでも、動画を見るだけでは上達しない。実際にボールを打って初めて課題に気づく」
AIであれ、ブロックチェーンであれ、論点は実務レベルに降りたときに初めて明確になる。
「議論を議論で終わらせず、実践の契機にしてほしい」
「FIN/SUM 2026」での伊藤長官のメッセージは、金融庁が規制=“止める側”ではなく“実装を後押しする側”でもあるという明確なシグナルでもあった。
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