Tether取引先の銀行口座、米当局が約8400万ドル差し押さえ=ロイター

米カリフォルニア州の連邦検察当局が、Tether(テザー)との関係が報じられた米決済会社Capstone(キャップストーン)の銀行口座と暗号資産(仮想通貨)ウォレットから、総額約8420万ドル(約133億円、1ドル=158円換算)を差し押さえた。ロイターが9月25日報じた。

裁判資料によると、当局はキャップストーンがWells Fargo(ウェルズ・ファーゴ)に保有していた口座から約8100万ドル、JPMorgan Chase(JPモルガン・チェース)の口座から約200万ドルを差し押さえた。このほか、約120万ドル相当の米ドル連動型ステーブルコイン「テザー(USDT)」も差し押さえたという。

キャップストーンは米モンタナ州で登録された決済会社で、資金移動サービスを手がけていた。米連邦検察当局は民事没収を求める申立書で、同社の経営者が銀行口座の開設時に、事業内容を情報技術関連と説明していたと主張している。

検察当局によると、キャップストーンはカリブ海のドミニカ国に拠点を置く銀行との契約を通じ、暗号資産関連企業2社のために多数の支払いを処理していたという。テザーは、この銀行の顧客だったことを認めた。

一方、キャップストーンによるとされる不正行為は把握しておらず、同銀行に預けていた資産も限定的だったと説明している。

検察当局はさらに、キャップストーンが米連邦捜査局(FBI)の職員を装って被害者から現金をだまし取り、その資金を暗号資産に交換する詐欺に関与したと主張している。ただし、米司法省はテザーを含む他の企業による不正行為を訴状で主張していない。

今回の差し押さえは、テザーそのものへの処分ではない。問題となっているのは、テザーが資産の一部を置いていた銀行と、同銀行の指示を受けて決済を処理したとされるキャップストーンの取引関係である。

テザーは法執行機関との協力を強調してきた。同社は4月、米政府や法執行機関と連携し、計3億4400万ドル相当のUSDTの凍結を支援したと発表している。同社によると、制裁回避や犯罪ネットワークとの関係が確認された場合、対象となるUSDTの移動を制限できるという。

米司法省も暗号資産を対象とした民事没収手続きを相次いで進めている。9月14日には、イラン産原油などの取引収益にあたるとして、約6100万ドル相当のUSDTの没収を求める訴訟を提起した。今回の事案では、暗号資産企業そのものだけでなく、取引先の銀行や決済会社を介した資金の流れも当局の捜査対象となっている。

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|文:平木 昌宏
|画像:Shutterstock