毎週土曜日の早朝に開催している「JPYC × エックスウィン 早朝スペース」に、Bitget Walletがゲストとして登壇した。今回のスペースでは、セルフカストディウォレットの現在地や、Web3におけるウォレットの役割、そして今後の可能性について議論した。
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Ethereumでは、アクティブアドレス数が依然として高水準で推移しており、2026年に入ってからも急増する局面が見られる。価格が大きく変動するなかでも、オンチェーン上の利用が広がっていることを示す動きだ。その背景の一つには、ウォレットのUX改善やソーシャルログイン、マルチチェーン対応、Swap機能の統合などによって、ユーザーがオンチェーンへ参加するハードルが下がっていることもあるだろう。ウォレットは、単なる暗号資産の保管ツールではなく、Ethereumをはじめとするオンチェーン経済への重要な入口になりつつある。
この機会に改めて世界の主要なセルフカストディウォレットを比較してみると、暗号資産ウォレットの競争が新しい段階に入っていることが見えてくる。
これまでセルフカストディウォレットの大きな役割は、「秘密鍵を自分で管理し、自分で暗号資産を保有すること」だった。しかし現在、競争の中心は単なる「保管」から、取引、DeFi、送金、決済、資産運用までをどこまで一つのウォレットで完結できるかへ移りつつある。
MetaMask、Trust Wallet、Phantom、OKX Wallet、Bitget Wallet、Safe、Ledgerなど、世界の主要ウォレットを見ると、それぞれが異なる強みを持ちながら、次世代の金融インターフェースを目指していることが分かる。
ウォレットの役割が変わり始めた
セルフカストディとは、取引所など第三者に暗号資産を預けるのではなく、ユーザー自身が資産へのアクセス権を管理する仕組みだ。
MetaMaskはEthereum・EVM系を中心に、長年Web3とdAppをつなぐ代表的なウォレットとして使われてきた。
Trust Walletは幅広いブロックチェーンへの対応と大規模なユーザー基盤を強みに持つ。
PhantomはSolanaを起点に、シンプルで分かりやすいUXによって利用者を拡大し、その後EthereumやBitcoinなどにも対応範囲を広げている。
一方、Safeは個人利用よりも、マルチシグや権限管理を活用したDAO、企業、チームの資産管理で強い存在感を持つ。
LedgerやTrezorのようなハードウェアウォレットは、秘密鍵をオンライン環境から切り離して管理することで、セキュリティを重視するユーザーに支持されている。
つまり、現在のセルフカストディ市場は、一つのウォレットがすべてを支配する構造ではなく、用途ごとに異なる強みを持つプレイヤーが競争する市場になっている。
「保管」から「利用」へ
最近の大きな変化は、ウォレットの中でできることが急速に増えている点だ。
以前であれば、
取引所で暗号資産を購入する
↓
ウォレットへ送金する
↓
DEXへ接続する
↓
必要に応じてブリッジする
↓
DeFiサービスを利用する
といったように、複数のサービスを行き来する必要があった。現在は、スワップ、クロスチェーン取引、ステーキング、DeFi、NFT、法定通貨との交換などをウォレット内へ統合する動きが進んでいる。
OKX WalletやBitget Walletなどは、こうしたマルチチェーン型の統合ウォレットとして存在感を高めている。
特にBitget Walletは、多数のチェーンへの対応に加え、スワップ、ブリッジ、DeFi接続、マーケット情報、決済などを一つのアプリへまとめている点で一定の優位性を持つ。
ただし、これはBitget Walletだけの方向性ではない。ウォレット業界全体が、「暗号資産を保管する場所」から「暗号資産を実際に使うための入口」へと進化している。
UX改善がセルフカストディ普及の鍵
セルフカストディの最大の課題の一つは、秘密鍵やシードフレーズの管理だ。秘密鍵をユーザー自身が管理できることは大きなメリットである一方、紛失や誤操作に対する責任もユーザー自身が負う。
そのため現在は、MPC、スマートアカウント、アカウント抽象化、Passkey、ソーシャルログインなどを活用し、安全性を維持しながら使いやすさを高めようとする動きが広がっている。
Coinbaseが展開するBase系のスマートウォレットもその一例だ。
従来のシードフレーズを前提としたWeb3体験から、GoogleやAppleなど普段利用しているサービスに近い操作感へ移行することで、新しいユーザーをオンチェーンへ取り込もうとしている。
Bitget WalletやOKX Walletでも、MPCやソーシャルログインなどを活用し、セルフカストディのハードルを下げる取り組みが進められている。今後の競争では、「最も多くのチェーンに対応しているか」だけでなく、「初心者でも安全に利用できるか」が重要な評価軸になりそうだ。
次の競争領域は「決済」
もう一つ注目されるのが、ウォレットと現実世界の決済との融合である。ステーブルコイン市場の成長によって、ウォレットは単なる投資資産の管理ツールではなく、送金や決済インフラとして使われる可能性が高まっている。
主要ウォレットの一部では、カード決済、QRコード決済、オン・オフランプなどとの接続も進んでいる。
この流れが進めば、
「暗号資産を購入する」
「運用する」
「送金する」
「支払う」
という一連の金融行動が、一つのセルフカストディウォレットの中で完結する可能性がある。
ここではマルチチェーンと決済機能を早い段階から統合しているBitget Walletのようなプレイヤーにも優位性がある一方、取引所系ウォレットやフィンテック企業、ステーブルコイン事業者などとの競争も激しくなるだろう。
日本でも進む「使うウォレット」の社会実装
海外でウォレットの多機能化が進む一方、日本でも独自のアプローチを持つウォレットや関連サービスが登場している。
代表的なのが、HashPort Wallet、JPYC Gateway、マイナウォレットだ。
HashPort Walletは、大阪・関西万博の「EXPO2025デジタルウォレット」を引き継ぐ形で展開されている国産のノンカストディアルウォレットである。NFTやSBTなどのデジタル資産に加え、USDCやJPYCなどのステーブルコイン活用、決済領域へと機能を広げている。一般ユーザーがWeb3を強く意識せずにデジタル資産を利用できる体験を目指している点が特徴だ。
JPYC Gatewayは、個人向けウォレットというより、法人がJPYCを送金・管理するための業務基盤として位置づけられる。ガス代を意識せずにJPYCを送金できる仕組みや、多段階の承認フロー、会計・業務システムとの連携など、企業の内部統制や実務への導入を重視している。ステーブルコインを企業の資金移動や決済へ組み込むための「法人向けウォレットインフラ」という方向性が特徴的だ。
マイナウォレットは、マイナンバーカードと公的個人認証サービスを活用する点で、日本独自のポジションを持つ。マイナンバーカードを使った本人確認とAccount Abstractionなどの技術を組み合わせ、秘密鍵やガス代といったWeb3特有の複雑さを一般ユーザーからできるだけ見えにくくする設計を進めている。2026年には実店舗でのJPYC決済実証にも利用され、デジタルIDとステーブルコイン決済をつなぐ取り組みとして注目される。
この3つを見るだけでも、日本のウォレット市場が単なる「暗号資産の保管」を超え始めていることが分かる。
HashPort Walletは一般ユーザーと決済、JPYC Gatewayは法人利用と内部統制、マイナウォレットはデジタルIDと日常利用というように、それぞれ異なる入口からWeb3の社会実装を進めている。
世界ではマルチチェーン化やDeFi統合が競争軸となる一方、日本ではステーブルコイン、本人確認、企業会計、既存の決済インフラといった「現実社会との接続」が、ウォレット普及の重要な競争軸になっていく可能性がある。
セルフカストディは金融サービスの入口になる
長年、暗号資産業界では、
「Not your keys, not your coins」
という言葉が使われてきた。
しかし、セルフカストディを一般ユーザーまで広げるためには、「自分で秘密鍵を管理する」という思想だけでは十分ではない。
使いやすく、安全で、チェーンを意識せず、取引や運用、決済まで利用できる必要がある。
今後セルフカストディウォレットが進化すれば、銀行口座、証券口座、決済アプリ、資産運用サービスの役割の一部をオンチェーン上で統合する可能性もある。
そのとき、ウォレットは単なる「暗号資産の財布」ではなくなる。
ユーザーがオンチェーン金融へアクセスするための、いわば「金融OS」に近い存在になるだろう。
世界のセルフカストディウォレット競争は、保管機能の競争から、ユーザー体験と金融サービスをめぐる競争へと移り始めている。
ショート動画
ウォレットは「保管」から「金融OS」へ──セルフカストディ競争の現在地
https://youtube.com/shorts/hTRcv4gDCS0


