Banca d’Italia(イタリア銀行)は7月、ステーブルコインによる国際送金の実証実験の結果を公表し、従来の送金手段に対する体系的なコスト・速度上の優位性は確認できなかったと結論づけた。
調査は覆面調査方式で実施された。イタリアを起点にアルゼンチン、ブラジル、南アフリカ、アラブ首長国連邦(UAE)、日本を結ぶ双方向の10回廊で、200USDC(USDコイン)を実際に送金した。
総コストは送金額の0.30%から約9%まで大きく分散した。うちオンチェーン送金の負担は平均0.4%にすぎず、大半は法定通貨との交換段階で生じている。
速度も地域差が大きく、イタリアのTIPS、ブラジルのPIX、アルゼンチンのTransferencias 3.0など即時決済網が整う国では20分以内に完了した一方、通常の銀行振込に依存する南アフリカでは1〜2営業日を要した。
世界銀行の国別平均送金コストとの比較では4カ国中3カ国でUSDCが安かったが、送金業者Wiseとの比較で優位だったのは7回廊中3回廊にとどまった。
日本は規制が厳格で、利用可能な国内事業者が1社に限られ海外取引所への直接送付もできず、アンホステッドウォレットの経由を要した。コストは1.3〜1.6%と低いが、個人利用には現実的でないと指摘されている。
報告書はステーブルコインの市場規模を約3250億ドル(約52兆円、1ドル=160円換算)、うち98%がドル建てと整理している。
法定通貨への再両替が不要になれば利点は大きく高まるとする一方、ドル需要の強い国では通貨代替が進み、金融主権や金融安定に影響しうるとも警告した。
|文・編集:井上 俊彦
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