SBIグループおよびStartale Groupが手がける国内初の信託型円建てステーブルコイン「JPYSC」は、初日の発行量が100億円相当(100億JPYSC)に達した。
なぜ100億円だったのか、パブリックチェーン流通はいつ頃になりそうなのか──。
SBI VCトレードは、JPYSCの発行開始についてNADA NEWSの取材に応じ、初日に発行した100億円相当について「実際のお客さまからの発行依頼およびJPYSCに対する資金需要を踏まえた結果」と説明した。また、パブリックチェーン上での流通については「なるべく早い段階」を目指す考えを示した。
「100億円」は顧客需要を踏まえた発行
SBI VCトレードは、初日に100億円相当を発行した理由について、「実際のお客さまからの発行依頼およびJPYSCに対する資金需要を踏まえた結果」と説明した。
また、「もちろんのことながら、同額の日本円も金銭信託されております」とし、発行済みのJPYSCと同額の日本円が信託されていることを強調した。
JPYSCの流通については、「既に弊社プラットフォーム上では流通しております」と説明した。
一方、パブリックチェーン上での流通については、「関係法令・税務実務上の取扱いが整理され次第」としている従来方針を維持している。
パブリックチェーン流通は「なるべく早い段階」
リリースでは、「関係法令・税務実務上の取扱いが整理され次第、パブリックチェーン上での流通を目指す」としている。
この点について同社は、実現時期について「なるべく、早い段階を考えております」と回答。その一方で、「主な課題は、プレスリリースでも記載しましたように、『関係法令・税務実務上の取扱いの整理』になります」と述べるにとどめ、具体的なスケジュールや論点については明らかにしなかった。
USDCは運用、RLUSDは法人決済を想定
またJPYSCの発行と同じ24日に取り扱いを開始した米ドル建てステーブルコイン「RLUSD」について、すでに取り扱っているUSDCとは異なる役割を想定していることを明らかにした。
USDCについては、「流通規模が大きく、市場における実績・信頼性が高い基盤的なステーブルコイン」と位置付け、既存顧客向けの運用機会や流動性の高いドル建て資産としての活用を想定している。
一方、RLUSDについては、「法人間決済等を含むエンタープライズ領域での利用の多いステーブルコイン」と位置付けた。Rippleとのパートナーシップやネットワークを踏まえ、今後はXRPL対応も見据えながら、法人顧客に対する新たな決済・資金移動手段としての活用を目指すとしている。
RLUSDは現時点で100万円上限
RLUSDについては、4月に都内で開催されたイベントで同社社長の近藤智彦氏が「100万円制限を受けない方向」での取り扱いを実現したいと述べていたが、同社広報によると、「現時点では100万円制限」があると説明した。
その理由について同社は、「現時点では、内閣府令により外国電子決済手段にはこのような規制がなされております」と回答している。
SBIグループが描く3つのステーブルコイン戦略
SBIグループは、円建てのJPYSC、ドル建てのUSDCとRLUSDを「SBIグループが目指すオンチェーン金融実現のための重要な存在」と位置付け、それぞれ異なる役割を担わせる方針だ。
JPYSCは、円建ての信託型ステーブルコインとして、大口決済・送金ニーズへの対応に加え、レンディングなど円建て資産の運用基盤として活用する考えだ。資金決済法上の上限規制を受けないスキームを前提に、法人を含む大口資金需要への対応を想定しつつ、将来的には一般利用者への展開も視野に入れる。
一方、USDCとRLUSDは、インバウンド決済に加え、ドル建て資産の保有・運用手段として位置付ける。為替分散ニーズへの対応やレンディングによる利回り獲得、円転を含めた流動性確保などを通じ、「ドルを持たなくても米ドル建てステーブルコインを持つことで便利になるユースケース」の創出を目指すとしている。
パブリックチェーン上での流通開始時期は未定だが、SBI VCトレードは「なるべく早い段階」を目指すとしている。円建てステーブルコインが本格的なオンチェーン流通へ移行できるか、その動向が注目される。
|文:増田隆幸



