● 今週のビットコインは、米国株が高値を更新する中でも、ETFフローの悪化や中東リスク、米金融政策・規制を巡る不透明感が重なり、上値の重い展開となった。
● 来週のビットコインは、米イラン協議やホルムズ海峡情勢を巡る不透明感が残る一方、米中首脳会談後のAI関連株高や米規制整備を巡る思惑が下支えとなる展開が予想される。直近の価格レンジとして、上値はBTC=82,000ドル(約1,295万円)、下値はBTC=75,000ドル(約1,185万円)を意識する。
今週(5月8日~5月14日)の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):米株高に追随できず、政策不透明感で上値の重い展開
ビットコインは、米国株が高値を更新する中でも、ETFフローの悪化や中東リスク、米金融政策・規制を巡る不透明感が重なり、上値の重い展開となった。
5月8日発表の4月米雇用統計では雇用の底堅さが確認され、景気への過度な懸念はいったん和らいだ。一方、米イラン情勢を巡る緊張が続く中で原油価格の高止まりが意識され、ビットコインは一時BTC=80,000ドル(約1,264万円)を割り込んだ。現物ETFからも日次で数億ドル規模の資金流出が確認され、短期的な利益確定売りが出やすい地合いとなった。
その後は、米CLARITY法案の上院マークアップが14日に予定されたことで規制整備への期待が高まり、ビットコインは徐々に持ち直した。しかし、4月の米消費者物価指数(CPI)と米卸売物価指数(PPI)がそろって高い伸びとなり、インフレ再燃への警戒感が強まった。これにより、利下げ期待が後退する中、米国株とともにビットコインもBTC=82,000ドル(約1,295万円)近辺で上値を抑えられた。
さらに、米CLARITY法案では、上院銀行委員会による修正案の公表で一時期待が高まったものの、政治家や政府高官の暗号資産取引を巡る倫理条項の扱いが新たな焦点となり、審議の先行きに慎重な見方が広がった。米国株がAI主導で高値圏を維持した一方、ビットコインは規制面の懸念やETFフローの悪化を背景に再び売りに押された。
注目された米中首脳会談前後では、貿易・イラン情勢・台湾問題などを巡る思惑が交錯し、神経質な推移となったが、米上院銀行委員会でCLARITY法案が委員会通過したことを受け、BTC=81,000ドル(約1,279万円)付近まで値を戻した。
来週(5月15日~5月21日)の相場予想
BTC(ビットコイン)は米イラン情勢に警戒も、米中首脳会談後のリスクオン期待が下支えか
来週のビットコインは、米イラン協議やホルムズ海峡情勢を巡る不透明感が残る一方、米中首脳会談後のAI関連株高や米規制整備を巡る思惑が下支えとなる展開が予想される。
米イランの停戦は維持されているものの、ホルムズ海峡の通航正常化や核開発を巡る協議はなお流動的で、足元では原油価格が高止まりしている。協議が停滞し、軍事的緊張や供給不安が強まれば、インフレ懸念とリスクオフを通じてビットコインにも売り圧力が波及しやすいだろう。
また、5月20日に公表予定のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨にも注目したい。4月会合では政策金利が据え置かれており、議事要旨でインフレ警戒や利下げに慎重な姿勢が再度強調されれば、米金利上昇を通じてビットコインの上値を抑える要因となりうる。
一方、5月14日の米中首脳会談後の市場反応はおおむねリスクオン寄りである。会談では大きな突破口こそ見られなかったものの、両首脳が対話継続の姿勢を示したことで、米中対立の先鋭化はいったん避けられるとの見方が広がっている。中国企業向けのエヌビディア[NVDA]製品販売を認めるとの報道もあり、AI関連株高が続けば、リスク選好の改善を通じてビットコインにも買いが入りやすいだろう。
さらに、米CLARITY法案の審議動向が引き続き焦点となる。修正案は上院銀行委員会を通過し、次回は本会議での審議に移る見通しとなった。委員会通過は規制整備の前進として買い材料となる一方、トランプ一族の暗号資産関連事業を背景に、政府関係者における倫理条項が新たな争点となっている。条項を巡る調整が難航すれば、成立期待の後退から上値を抑える可能性がある。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=85,000ドル(約1,343万円)、下値はBTC=75,000ドル(約1,185万円)を意識する。



