Zcash、Robinhood上場で9%上昇──米当局による7億ドル超の暗号資産差し押さえも追い風に【価格分析】

・ジーキャッシュ(Zcash)は4月23日木曜日、オンライン証券大手ロビンフッド(Robinhood)への正式上場を受けて8%上昇し、344ドル近辺で取引された。時価総額は57億ドルとなり、米国内でZEC(ジーキャッシュ)への個人投資家のアクセスが広がった。
・米司法省は、東南アジアの詐欺ネットワークに関連する7億ドル相当の暗号資産を差し押さえた。これにより、取引時間中にプライバシー重視のZECへ投機的な買いが集まる動きがさらに強まった。
・ZECは日中に大きく上昇した一方、デリバティブ指標は、強気派が350ドルを突破できなければ下値支持が脆い可能性を示している。

Robinhood上場がZcash価格を9%押し上げ

Zcashは4月23日、Robinhoodへの上場を受けて8.4%上昇し、同日のデジタル資産市場で最も好調な銘柄となった。中東情勢の緊張再燃を受けて原油価格が再び100ドルを上回り、暗号資産全体の時価総額が2.5%減の2兆4,000億ドルに低下するなか、ビットコイン(BTC)も7万8,000ドルを下回る水準にとどまっていた。そのなかで、ZECの上昇は際立っていた。

今回の上場により、Robinhoodの取引アプリ内で24時間365日の現物取引が可能となった。ただし、Robinhoodは現時点でZECの直接入金には対応しておらず、出金も透明アドレス宛てに限られている。

<Robinhood、Zcash(ZEC)を上場|2026年4月23日>

米国最大の個人投資家向け取引プラットフォームであるRobinhoodへの上場により、Zcashはニューヨーク州を含む全米の膨大なユーザー基盤に対して、認知と取引機会を一気に広げることになった。2026年2月時点で、Robinhoodは約2,700万人の入金済み顧客と2,840万件の投資口座を報告している。

<Zcash(ZEC)価格は2026年4月23日木曜日、Robinhood上場後に9%上昇|出所:CoinMarketCap>

CoinMarketCapのデータによると、ZECは9.4%反発し、総取引量も24%増加した。この動きは過去の傾向とも一致する。主要な個人投資家向けプラットフォームへの上場は、認知度の向上、ウォッチリストへの追加、投機的な勢いを背景に、短期的な資金流入を引き起こすことが多い。

詐欺摘発でプライバシー銘柄に資金流入、ZECは350ドル付近で調整リスク

今回の上昇は、東南アジアの詐欺ネットワークを標的とした米司法省による大規模な執行措置とも重なった。当局は主要な運営者に対する刑事訴追、500件を超える不正サイトの差し押さえ、さらに強制労働型の詐欺拠点へ被害者を勧誘するために使われていたTelegramチャンネルの停止を発表した。

報告によると、米当局はこれらのネットワークに関連する資金洗浄活動に結びついた7億ドル超の暗号資産を押収した。この連携した取り組みには、財務省や国務省を含む複数の省庁に加え、国際的なパートナーも関与している。

ブロックチェーンネットワーク全体で監視や執行の圧力が高まると、短期的にプライバシー重視の資産へ資金が移ることがある。取引時間中のZcash上昇は、こうした市場心理を浮き彫りにした。

<Zcash(ZEC)清算マップ、2026年4月23日|出所:Coinglass>

上昇の勢いは強いものの、デリバティブ市場のポジション動向は慎重姿勢を示している。過去24時間で取引量は24%急増し、トレーダーは約2,500万ドルのロングポジションと1,050万ドルのショートポジションを新たに構築した。

注目すべきは、ZECが現在344ドルで取引されるなか、350ドルのレジスタンス付近に約500万ドルのショートポジションが集中しており、上値の大きな壁になっている点だ。一方、稼働中のロングポジションは比較的まばらで、ロング清算の最大クラスターは317ドルに位置している。この水準には、約1,350万ドル規模のロング清算ポジションが集中している。

上値には厚いショートが控える一方、下値の支持は相対的に弱い。現在価格よりかなり下の水準にロング清算が点在していることは、トレーダーが急落リスクを意識しつつも、Robinhood上場に加え、米当局による差し押さえ措置を受けてプライバシー銘柄への関心が高まったことを背景に、強気のポジションを取っていることを示している。

<Zcash(ZEC)テクニカル価格分析|出所:TradingView>

こうしたZECへの慎重な見方を裏付けるように、テクニカル指標では、Zcashがケルトナーチャネル(Keltner Channel)のミッドライン(中心線)である315ドルを回復した後も、次のレジスタンス帯である上限バンド368ドルを突破するにはなお課題が残ることが示されている。

MACDのシグナルラインは収束しつつあるものの、ヒストグラムはなおマイナス4.4で推移している。これは売り圧力が弱まりつつあることを示す一方で、強気クロスはまだ確認されていないことを意味する。

強気派が350ドルを上回る勢いを維持できれば、368ドルに向けたブレイクアウトにつながる可能性がある。一方、350ドルで上値を抑えられれば、315ドルに向けた反落が起こり得る。この水準は、過去の需要パターンとZEC先物市場でカバー目的のポジションが厚い水準とも重なる。

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