中南米最大のデジタル銀行Nu、米国法銀行設立へ前進

ラテンアメリカ最大のデジタル銀行Nu(ヌー)は、米通貨監督庁(OCC)から新規国法銀行「Nubank, N.A.」設立に向けた条件付き承認を取得したと発表した。今回の承認は、同社の米国事業拡大に向けた長期戦略における重要な節目と位置付けられている。

最終承認が得られた場合、ヌーは米国連邦規制の包括的な枠組みの下で銀行業務を展開できるようになる。具体的には、預金口座、クレジットカード、融資サービス、デジタル資産カストディといったサービスの提供が可能になる見込みだ。

ヌー創業者兼CEOのDavid Vélez(デビッド・ベレス)氏は、今回の承認について「単なる事業拡大ではなく、顧客中心のデジタルファースト型金融モデルが金融サービスの未来であることを証明する機会だ」とコメントしている。同社は引き続きブラジル、メキシコ、コロンビアといった主要市場に注力しつつ、米国で次世代型銀行の構築を目指すとしている。

米国事業は、共同創業者のCristina Junqueira(クリスティーナ・ジュンケイラ)氏が率いる。ジュンケイラ氏は銀行設立と長期的な事業成長を主導するため米国へ拠点を移した。また、ブラジル中央銀行の元総裁であるRoberto Campos Neto(ロベルト・カンポス・ネト)氏が取締役会会長を務める。

ヌーは現在、「銀行組織フェーズ」に入っており、OCCが提示した条件を満たすとともに、連邦預金保険公社(FDIC)および連邦準備制度(FRB)からの追加承認を取得する必要がある。この期間中、ヌーは12カ月以内の資本充実および18カ月以内の銀行開業を目標として準備を進める。なお、同社は2025年9月30日にOCCへ申請を提出していた。

今回の進展は、ヌーが複数の国・地域で厳格な規制に対応してきた実績の延長線上にある。メキシコでは子会社ヌー・メキシコが2025年4月に銀行設立認可を取得し、現在は最終的な営業承認を待つ段階にある。ブラジルでは2016年から完全に規制された金融機関として運営されており、2026年にはフル銀行ライセンス取得を目指している。

ヌーは2013年に設立され、現在はブラジル、メキシコ、コロンビアを中心に1億2700万人以上の顧客を抱える世界最大級のデジタル金融プラットフォームへと成長した。ブラジルでは顧客数ベースで国内最大の民間金融機関となっている。

同社は高い顧客エンゲージメントも特徴で、アクティブ率は83%を超える。2025年第3四半期には売上高42億ドル(約6500億円、1ドル=155円換算)を記録し、前年同期比39%の成長を達成した。こうした成長力を背景に、ヌーは世界でも急成長かつ高収益の金融サービス企業の一つとされている。

企業としての評価も高く、タイム誌の「最も影響力のある企業100社」、Fast Company(ファスト・カンパニー)の「最も革新的な企業」、フォーブス誌の「世界最高の銀行」、Latin Finance(ラテン・ファイナンス)の「デジタル銀行・オブ・ザ・イヤー」などに選出されている。

さらにヌーは、2026年シーズンからメルセデスAMGペトロナスF1チームの公式チームパートナーとなる複数年契約を発表し、ブランドのグローバル展開を進めている。

今回の米国国法銀行設立プロセスは、ヌーが以前から掲げてきた米国戦略とも連動する。同社はマイアミ、サンフランシスコ湾岸、北バージニア、ノースカロライナ州リサーチトライアングルに戦略拠点を構築する計画を発表している。

|文・編集:Shoko Galaviz
|画像:Shutterstock

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