ビットコインの買い手が戻ってきた──クジラの保有増とETF資金流入が示す変化【エックスウィン】

CryptoQuantの2026年10月13日付特別レポートによると、ビットコイン市場では、大口保有者が売却から買い集めへ転じ、米国の現物ETFにも資金が戻り始めている。同社は、市場が弱気相場から強気相場の初期段階へ移行したと評価している。その背景には、価格の反発に加え、保有量や資金フローに表れた投資家の行動変化がある。

オンチェーンと市場の10種類の指標を組み合わせた「Bull Score Index」は、7月下旬の20から9月26日に90へ上昇し、2024年12月以来の最高水準を記録した。レポート時点でも80と、非常に強気な水準を維持している。この間、ビットコイン価格は7万3,000ドルから一時8万7,000ドルまで上昇し、365日移動平均線も回復した。複数の指標が改善していることから、単発の価格反発にとどまらない市場構造の変化が注目されている。

ただし、すべての投資家が一斉に買いへ動いているわけではない。大口保有者やETFに改善が見られる一方、個人投資家の参加拡大は、今回のデータではまだ明確ではない。今の相場を理解するには、価格が上がったという結果とともに、その上昇を誰が支えているのかを見る必要がある。今回は、大口保有者の行動を捉えるオンチェーン指標と、ETFを通じた資金フローの2つから、買い手の回復と今後の課題を読み解く。

クジラの保有量──303万BTCまで回復

【チャート①:ビットコイン:クジラの総保有量と月間増減率】

Line chart showing Bitcoin holdings (in millions of BTC) over time with a pink price line and blue 30-day change area; includes moving averages and labels in Japanese, Jan–Oct 2026.

取引所とマイニングプールのアドレスを除いたクジラの保有量は303万BTCに達し、2025年11月21日以来の最高水準となった。過去30日間の残高増加ペースも、2026年2月11日以来の速さとなっている。

このチャートで重要なのは、保有量の大きさに加え、その増加ペースが加速している点だ。大口保有者が、保有BTCを減らす局面から、積み増す局面へ移りつつあることを示唆している。

ただし、残高の増加をすべて市場での新規購入とみなすことはできない。アドレス間の移動などもあり得るため、価格やほかの資金フローと合わせて判断する必要がある。それでも、大口保有者の残高回復は、買い手の変化を捉える重要な材料となる。

米国現物ETF──資金流出から流入へ転換

【チャート②:米国ビットコイン現物ETF:2026年の累計純流入額】

米国現物ETFの年別累計純流入額を示す折れ線グラフ。2024–2026年の推移と注記あり。

米国のビットコイン現物ETFの年初来累計資金フローは、一時51億ドルの純流出となっていたが、レポート時点では15億ドルの純流入へ回復した。

これは、今年積み上がっていた資金流出を埋め、累計でも流入が上回る状態になったことを意味する。BTC数量ベースでも、7月上旬のマイナス8万3,000BTCから、プラス2,300BTCへ転じている。

クジラの保有量が「大口保有者がBTCを積み増しているか」を示す一方、ETF資金フローは「ETFを通じた投資資金が戻っているか」を捉える。異なる経路で買い手の回復が確認されている点は、前向きな材料だ。

ただし、2025年の同時期には約240億ドルの純流入があり、今年の15億ドルはその規模を大きく下回る。資金の方向は改善したが、流入の勢いが十分に戻ったかは、引き続き確認が必要である。

大口投資家は、売らずに資金を確保している

融資データにも、大口保有者の行動変化が見られる。

暗号資産融資サービスCoinRabbitでは、BTC担保融資額が1,000万ドルを超える層のUSDT借入総額が、9月に前月比83.3%増加した。平均融資額も33.5%増加している。

この動きは、保有BTCを売却する代わりに、担保として資金を確保する行動と整合する。ただし、借りた資金の使途は分からないため、借入増加をそのままBTCの追加購入と解釈することはできない。

一方、10万ドル未満の個人投資家層では、借入総額が17.2%減少した。同サービスのデータを見る限り、大口層が先に動き、小規模層の参加はまだ広がっていない構図である。

荒澤の視点──買い手の回復と短期の調整は両立する

私が注目しているのは、クジラの保有量回復とETFの累計純流入への転換が、同時に確認されていることだ。価格だけでなく、相場を支える買い手にも改善の兆候がある。

もっとも、大口投資家が買い集めているからといって、価格が一直線に上がるわけではない。利益確定売りに加え、BTCを担保とした借り入れには、下落時の追加担保や清算のリスクも伴う。

レポートでは、短期的な調整の可能性を指摘し、発行時点の下値支持線として365日移動平均線の約8万ドル、200日移動平均線の約7万1,000ドルを挙げている。

今後は、クジラの保有量増加が続くか、ETFへの資金流入が継続するかを確認したい。買い手の回復が一時的なものか、持続的なトレンドにつながるか。その判断には、価格の反発とともに、保有量と現物資金の流れを追うことが重要だ。

ショート動画

ビットコイン、大口が先に動いた!クジラとETFに変化
https://www.youtube.com/watch?v=eOnbSOSaz7A

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