国際通貨基金(IMF)は10月8日、国際金融安定性報告書(GFSR)2026年10月版の第3章と関連ブログでトークン化に関する分析を示した。
それによると、トークン化された金融市場は急成長しているものの、従来の市場と比べると規模は小さい。相互運用性の低さや、広く受け入れられた決済資産の不足などが、拡大の主な障害になっているという。
報告書によると、レポ取引を除くトークン化された現実資産(RWA)は、7月末時点で約650億ドル(約10兆4000億円、1ドル=160円換算)だった。内訳はクレジット商品が304億ドル(約4兆8640億円)、マネー・マーケット・ファンド(MMF)が175億ドル(約2兆8000億円)、株式が23億ドル(約3680億円)となっている。
トークン化株式では、取引の5割超が米国市場の通常取引時間外に行われていた。また、取引の約8割は1株未満だった。ただし流動性は低く、実現ボラティリティは従来の株式の約1.5倍に達する。
IMFは、市場が拡大すれば流動性リスクや相互連関性、レバレッジが新たな経路で増幅され、投げ売りや取り付け、連鎖的な波及を招く恐れがあると警告した。現時点では規模が小さいため、システミックリスクは限定的だとしている。
IMFは4月の報告書や7月のブログでも、即時決済によって危機時の緩衝材が失われると指摘してきた。
今回は、技術中立的な規制と、中央銀行マネーに裏付けられた決済資産の整備を求めた。ステーブルコインなど民間の決済資産には発行体の信用・流動性リスクが伴うともしている。
日本でも財務省が同日、国債のオンチェーン対応に関する研究会の初会合を開いた。
【次に読む】
» 「トークン化=効率化」は誤解だ──IMFが示した金融の再設計【編集長コラム】
» トークン化は金融の効率性を高めるが、適切な政策枠組みが必要:IMF
» トークン化は世界の金融構造を変える可能性がある=IMF
|文・編集:井上 俊彦
|画像:Shutterstock


