暗号資産(仮想通貨)取引所Bitget(ビットゲット)のGracy Chen(グレイシー・チェン)CEOは9月30日、ユーザー保護基金の評価額が3億ドル(約472億円、1ドル=157.4円換算)を再び上回ったとXへの投稿で明らかにした。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、テザー(USDT)の出金も再開済みだという。
同社の保護基金ページでは、基金の評価額が3億900万ドル(約486億円)、保有量が3705BTCと表示されている。チェンCEOは、9月29日の更新に基づく準備金比率が131%になったとも説明した。その他の暗号資産や法定通貨、P2P関連の出金は10月2日に再開する予定である。

背景には、9月24日に判明した大規模な資産流出がある。ビットゲットは9月25日、攻撃者のアドレスへ移された資産が約3億8750万ドル(約610億円)に上ると公表した。一部のホットウォレットとウォームウォレットが影響を受けた。
同社の初期調査では、攻撃者が第三者製セキュリティ製品の脆弱性を悪用し、高い権限を持つ内部認証情報を取得した。これを使って不正な出金指示を送り、リスク管理を迂回したという。原因となった脆弱性はすでに修正され、追加の不正送金を防ぐ措置も完了したとしている。
ビットゲットは、今回の損失をユーザー保護基金で負担する方針を示している。同基金は事件発生時点で約4億6400万ドル(約730億円)規模で、ビットコイン5500枚を保有していた。使用した資金は補充すると説明していた。
保護基金は、プラットフォーム全体の事故などによる利用者の損失に備える仕組みである。ビットゲットは2022年に保護基金を2億ドル規模で設立し、同年11月に3億ドル(約472億円)以上へ拡充した。以降、評価額を3億ドル以上に保つ方針を掲げている。
一方、プルーフ・オブ・リザーブ(準備金証明)は、取引所が利用者の預かり資産に対して十分な準備資産を保有しているかを示す仕組みである。準備金比率131%は、同社の公表値に基づき、対象となる利用者資産の1.31倍に相当する準備資産を保有していることを意味する。
ビットゲットは毎月、ウォレットの準備資産と利用者残高のスナップショットを公開している。利用者は、マークルツリーと呼ばれる暗号技術を使い、自身の残高が集計に含まれているかを確認できる。保護基金が事故発生後の損失に備えるのに対し、準備金証明は平時の資産保有状況を検証する役割を持つ。

出金機能は安全確認を進めながら段階的に復旧している。ビットコインは9月28日、イーサリアムは29日、テザーは30日に出金を再開した。その他の資産や法定通貨などは、10月2日17時から再開する計画である。
チェンCEOは、事業が徐々に通常の状態へ戻っていると説明した。ビットゲットは流出資金の追跡や回収を続けており、セキュリティ事案に関する調査も継続している。
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|文:平木 昌宏
|画像:Bitget公式サイトより(キャプチャ)
|トップ画像:Bitget Live公式配信ページ(キャプチャ)