韓国のフィンテック企業DOZNは9月22日、Kaia DLT Foundation(カイアDLT財団)と業務提携したと発表した。アジア各国の法定通貨に連動するステーブルコインを、韓国ウォンで精算するクロスボーダー基盤の構築を目指す。
両社は、日本円建てのJPYC、インドネシアルピア建てのIDRP、フィリピンペソ建てのPHPCを対象に技術検証(PoC)を行う。Kaia上での決済から韓国の銀行口座へのウォン入金まで、一連の精算処理を検証する計画である。

今回の背景には、ステーブルコインを実際の銀行預金へ換えるまでの経路が複雑であるという課題がある。現在はドル建てステーブルコインへの交換や取引所での売却、為替取引など、複数の段階を経る場合がある。
処理が増えるほど、手数料や為替コストが積み重なる。取引時の想定価格と実際の価格に差が生じる「スリッページ」も発生しやすく、入金までの時間が長くなる要因となる。
両社が検討する仕組みでは、Kaia上で受け取ったステーブルコインを発行元へ直接戻し、対応する法定通貨を受け取る。その後、DOZNが法定通貨を韓国ウォンへ交換し、韓国の銀行口座へ入金する。
カイアDLT財団は、各国のステーブルコイン発行事業者とオンチェーンネットワークの接続を担当する。DOZNは韓国の主要金融機関と接続する金融基盤を使い、法定通貨への転換、外国為替、ウォン建て精算を担う。
JPYCは5月15日にKaiaチェーンへ対応し、Kaia上での発行・償還が可能となった。韓国ではJPYCを加盟店決済に利用する取り組みも進んでいるが、今回のPoCは、決済後の資金を韓国ウォンへ換え、銀行口座に入金するまでの精算経路を検証する点に特徴がある。
今回の取り組みは商用化ではなく、技術的な実現可能性を確かめるPoCである。両社は検証結果を踏まえ、JPYCなどを韓国ウォンで精算する仕組みの対象国・通貨を順次拡大する方針だ。
【次に読む】
» JPYC、発行上限を「1日100万円」から「1回100万円」へ──Kaiaチェーン追加も
» LINE NEXT、韓国でのJPYCクロスボーダー決済実現へ──Danalと提携
» 【ST最前線】不動産STのその先へ──大和証券・澤氏が描くオンチェーン資本市場
|文:平木 昌宏
|画像:Adobe Stock