・米PCE物価指数の発表と米政府による売却観測を受け、ビットコイン(BTC)は7万7600ドルまで下落した後、7万8500ドルまで反発した。
・オンチェーンデータによると、8月18日ごろに現在の上昇局面が始まって以降、取引所のBTC準備高は2万5000BTC超減少している。
・RSIの強気クロスは維持されており、BTCは引き続き20日移動平均線を上回って推移している。
予想を上回るPCEインフレがBTCを圧迫、米政府の売却観測も浮上
8月26日水曜日、7月の米個人消費支出(PCE)物価指数が市場予想を上回ったことを受け、BTCは7万7600ドルまで下落したものの、その後7万8500ドルまで反発した。
米連邦準備制度理事会(FRB)が重視するインフレ指標であるPCE物価指数は前年同月比3.7%上昇し、市場予想の3.6%を0.1ポイント上回った。
米商務省経済分析局(BEA)によると、PCE物価指数は6月から0.2%上昇した。食品とエネルギーを除くコアPCEも同月に0.2%上昇した。予想を上回る結果を受け、インフレ圧力が高止まりするとの懸念が再燃した。

「米国のインフレ率は、FRBが掲げる2.0%の目標のほぼ2倍で推移し続けている」─ The Kobeissi Letter、Xへの投稿
今回のインフレ統計は、カンザスシティ連銀が毎年開催するジャクソンホール経済シンポジウムを前に発表された。同シンポジウムでは、ケビン・ウォーシュ議長が金曜日に基調講演を行う予定だ。
さらに、米政府がBTCを売却する可能性をめぐる観測が浮上し、もう一つの弱材料となった。オンチェーン分析プラットフォームのLookonchainは、FTX/Alameda事件で押収された資金に関連するウォレットから送金があったと報告した。同社によると、このウォレットは約192万ドル相当の24.41BTCを送金した。

「米政府は再びBTCを売却しているのか。米政府のウォレット(FTX/Alameda押収資金)から5時間前に24.41BTC(192万ドル相当)が送金された」― Lookonchain、2026年8月27日

米政府が再びBTCを売却したかどうかは、記事執筆時点では確認されていなかった。
ただし、Arkhamのデータによると、米政府のウォレットは依然として約32万4527BTC、約255億4000万ドル相当を保有していた。618のウォレットに分散するデジタル資産ポートフォリオでは、テザー(USDT)を約1億2563万7000単位保有していたほか、ラップドビットコイン(Wrapped Bitcoin:WBTC)を750.189単位、イーサリアム(ETH)を約1万7432単位保有しており、後二者はそれぞれ5900万ドル、約4340万ドル相当だった。
取引所準備高が2万5000BTC減少、短期保有者の売りを長期志向の投資家が吸収か
PCEインフレと米政府による売却観測という逆風が続くなかでも、BTCは水曜日の取引で7万7600ドル付近の安値から反発し、木曜日未明には7万8500ドルで取引された。
オンチェーン指標は、長期志向の買い手が短期保有者の売却したBTCを積極的に吸収していることを示唆している。
CryptoQuantの「短期保有者の使用済みアウトプット利益率(STH-SOPR)」は、移動されるまでの保有期間が1時間以上155日以内だったBTCを対象に、その移動時の損益を測る指標だ。BTCが8月18日に6万5000ドルを突破した際、この指標は1を上回った。それ以降は、おおむね1.02~1.04の範囲で推移している。

STH-SOPRが1を上回る場合、短期保有者が全体として利益を確保してBTCを売却していることを意味する。こうした動きは、短期志向の投資家やデイトレーダーが上昇局面で売却する強気相場でよく見られる。

一方、取引所残高はSTH-SOPRとは反対の方向に動いている。
取引所準備高は8月17日の273万7742BTCから、8月27日には271万2249BTCへ減少した。これは10日間で、取引所のBTC準備高が2万5493BTC(約20億ドル相当)純減したことを示している。
コールドストレージへの移動は一般に、長期保有者や、資産を取引プラットフォームから離して保有したい投資家の行動と結び付けられる。この組み合わせは、予想を上回るPCE物価指数やその他の利益確定要因に反応した短期トレーダーの売りを、より長期志向の投資家が吸収している可能性を示唆する。

さらに、米国上場のビットコインETFに対する需要も堅調に推移している。
Farsideのデータによると、米国上場のビットコインETFには8月26日に2億3200万ドルが流入した。これにより、8月17日以降8営業日連続の累計流入額は約28億ドルに達した。
資金流入が続いていることは、機関投資家の買いが引き続き堅調であることを示している。こうした買いが下支えとなり、水曜日に発表された予想を上回るインフレ統計による下押し圧力を和らげた。ただし、米政府による送金は、木曜日の取引を前に依然として未解消のリスク要因だ。
BTC価格予想:RSIの強気クロスで買い手優位が続くも、8万ドルの抵抗線が勢いを試す
直近の下落にもかかわらず、最近の値動きの強さと速さを測る相対力指数(RSI)を見る限り、BTCのテクニカル構造は強気を維持している。
RSIの移動平均線は68.62付近にあり、BTCが今回の上昇を始めた8月18日ごろに形成された強気クロスが維持されていることを示している。
BTCは6万9639ドル付近に位置する20日移動平均線を引き続き大きく上回っており、短期的に買い手が優勢であることをさらに裏付けている。
次の上値目標として、BTCは8万3234ドル付近のボリンジャーバンド上限に近づいている。上限バンドに接近していることは、もう一段上昇する可能性を強める。

ただし、BTCは約3日間にわたり7万8000ドル前後で伸び悩んでいる。ETFへの堅調な資金流入にもかかわらず上値を伸ばせないことから、新たな買い手がこの上昇相場を維持できるか疑問が生じている。
BTCが7万8000ドル前後にとどまる時間が長くなるほど、利益確定売りが需要を上回り始めるリスクは高まる。
直近安値の7万7600ドルを下回れば、上昇の勢いが弱まりつつある最初の警戒サインとなる。
その場合、次の下値めどは7万ドル台半ばとなる。調整が深まれば、最終的に6万9639ドル付近の20日移動平均線に近づく可能性もある。
現時点では、取引所残高の減少とETF需要の継続が強気シナリオを支えている。RSIの強気クロスと、BTCが20日移動平均線を上回っていることも、買い手優位の継続を示している。
ただし、RSIが買われ過ぎを示していること、価格が伸び悩んでいること、米政府による売却観測が未解消であることから、下振れリスクは高まりつつある。買い手が依然として明確に主導権を握っていることを示すには、BTCが8万ドルを力強く回復する必要がある。それができなければ、8月の上昇相場は、より大きな利益確定売りにさらされやすくなる。


