Anchorage、FRBの新決済口座案は「マスターアカウントの代替にならず」

米国初の連邦認可デジタル資産銀行Anchorage Digital Bankを傘下に持つAnchorage Digital(アンカレッジ・デジタル)は7月29日、米連邦準備制度理事会(FRB)が提案した新たな「ペイメントアカウント」について、従来のマスターアカウントの実用的な代替にはならないとの見解を示した。

アンカレッジ・デジタルはFRBへの意見書で、決済システムへのアクセスを近代化する取り組み自体には賛同した。一方、FedACHを利用できないことや、営業終了時の残高上限、日中信用の不提供、残高に利息が付かないことなどを問題視した。

FRBは5月、連邦準備法上、口座や決済サービスを利用する資格を持つ一定の金融機関向けに、決済・清算に用途を限定したペイメントアカウント制度を提案した。対象機関はFedwireやFedNowなど一部のサービスを利用できるが、日中信用やディスカウントウィンドウは利用できず、FRBに保有する残高にも利息は支払われない。

アンカレッジは特に、銀行間の電子資金移動を処理するFedACHへのアクセスが認められない点を問題視した。FedACHを利用できなければ、給与や請求書、企業間決済などの日常的な取引で引き続き仲介銀行に依存することになり、決済インフラへの直接アクセスという制度の利点が大きく損なわれると主張している。

また、ペイメントアカウントには日中の残高上限はないものの、営業終了時の残高には各地区連銀が設定する上限があり、最大10億ドル(約1600億円、1ドル=160円換算)とされる。アンカレッジは、こうした制約によって資金を日々別口座に移す必要が生じ、実務上の負担が増えると指摘した。

同行はさらに、FDICの預金保険の有無をリスク判断の代替指標とせず、米通貨監督庁(OCC)による監督や認可された事業内容など、実質的な規制状況に基づいて審査区分を見直すよう求めた。

FRB案には暗号資産(仮想通貨)関連団体や銀行業界、議員などから多数の意見が寄せられており、業界側は制度を前進と評価しつつ、制約が多すぎるとの見方を示している。

|文・編集:Shoko Galaviz
|画像:Adobe Stock

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