三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と三菱UFJ信託銀行は6月30日、DID/VC共創コンソーシアム(DVCC)に「AIエージェント×金融取引分科会」を設置したと発表した。
同分科会では、AIエージェントが利用者に代わって投資信託などの金融商品取引を処理する時代を見据え、分散型ID(DID)とデジタル証明書(Verifiable Credential:VC)を活用した信頼性確保の仕組みを検討する。
DIDは、特定の事業者に依存せずに個人や組織を識別するための分散型IDを指し、VCは、本人確認結果や資格、権限などの情報を検証可能な形で示すデジタル証明書である。
リリースによると、分科会では特に、利用者からAIエージェントへの権限移譲に着目する。委任範囲の定義や証明、取引実行結果の検証可能性などを論点として整理するという。
AIエージェントが金融取引を担う場合、金融機関は、利用者本人が誰かを確認するだけでは不十分になる。利用者がどのAIエージェントに、どの範囲の権限を与え、そのAIエージェントがどの取引を実行したのかを確認できる仕組みが必要になるためだ。
これまで金融機関では、本人確認、いわゆるKYC(Know Your Customer)が重要な手続きとされてきた。一方で、AIエージェントが利用者の代理として取引を行う場面では、「誰を確認するか」に加え、「どのAIに何を任せたか」を検証できることが重要になる。
DID/VCは、こうした本人確認情報や委任範囲、権限の証明をデジタル上で扱いやすくする技術として位置づけられる。
AIエージェント時代の金融取引では、利用者と金融機関の間にAIエージェントが入るため、権限委任の証明や取引結果の検証可能性を担保する仕組みとして、分散型IDとデジタル証明書の重要性が高まるとみられる。

具体的には、AIエージェントを用いた金融商品取引に関する法令解釈やガバナンス上の論点を整理する。
VCを使う技術基盤の検討に加え、来年度の実機を用いた実証実験を見据えたアーキテクチャと実証シナリオも検討対象とする。
金融商品取引への適用では、顧客保護や説明責任、投資適合性との整合性も論点になる。
AML/CFT(マネーロンダリング・テロ資金供与対策)を含む金融犯罪対策や、AIエージェントによる利用者の意思に沿わない契約行為が発生した場合の民法上の解釈も課題になるとしている。
DVCCは、分散型ID(DID)と連携したデジタル証明書(VC)のビジネス共創を目的に、2023年10月に設立されたコンソーシアム。2026年6月末時点の会員企業は53社だという。
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本分科会は2026年7月から2027年3月までをめどに活動する。MUFGを幹事とし、金融機関やベンダー、リーガルカウンセルなどが参画する予定だ。
|文:平木 昌宏
|画像:リリースより



