暗号資産投資家のCprkrn氏は5月13日、Anthropic(アンソロピック)のAI「Claude」を活用し、11年間アクセスできなかったウォレットから5BTC(約40万ドル、6200万円相当)を取り戻したとXに投稿した。
Cprkrn氏は数年前にblockchain.infoの複雑なパスワードを変更した後に失念していた。過去8週間、GPUや復旧ツール「Hashcat」を使って約3兆通り以上のブルートフォース攻撃を試みたが失敗し、最終手段として同氏は、Claudeに2台のMac、2台の外付けHDD、Apple Notesのエクスポート、iCloudメール、Gmail受信トレイ、Xのメッセージなど計1GB超のデータを検索させた。
その結果、Claudeは大学時代に使っていたPCから2019年12月作成のウォレット・バックアップファイルを発見。さらに既存復旧ソフト「btcrecover」の不具合を特定し、共有キー(sharedKey)とパスワードが連結されて暗号化されている構造を突き止め、独自の復号ロジックを生成した。ノートに残されていたニーモニックから導いたパスワードで復号に成功し、2015年初頭から休眠していたシードフレーズを復元した。AI利用コストはわずか15ドルだった。
今回のケースは、AIが暗号技術そのものを突破したわけではない。ユーザー自身が提供したバックアップやノートの断片を手がかりに、既存ソフトのバグやパスワードの論理構成を特定して所有者の復元作業を支援したものだ。AIが従来は専門業者に依頼するほかなかった自己管理ウォレットの復旧領域で、新たな選択肢となり得ることを示した事例といえる。
※編集部より:本文を一部修正して、更新しました。5月14日16時26分
|文・編集:井上俊彦
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