米上院銀行委員会が包括的なデジタル資産法案「Clarity Act(クラリティ法案)」のマークアップ(逐条審議)を控える中、議員らから100件を超える修正案が提出された。修正案には、制裁権限の強化、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の禁止、ステーブルコイン報酬規定の変更、DeFi関連条項、政府高官の暗号資産(仮想通貨)保有をめぐる倫理規定などが含まれる。
クラリティ法案は、米国で初めて暗号資産業界を包括的に連邦レベルで規制することを目指す法案だ。上院銀行委員会は5月14日にマークアップを行い、修正と採決を予定している。ただし、マークアップ中に修正案が実際に採用されることは一般的に少ない。
大きな争点の一つは、ステーブルコインの報酬規定だ。銀行業界は、暗号資産企業がステーブルコイン保有者に利息のような報酬を提供すれば、銀行預金が流出する可能性があると懸念してきた。これを受け、Angela Alsobrooks(アンジェラ・オールズブルックス)上院議員とThom Tillis(トム・ティリス)上院議員は、単にステーブルコインを保有するだけで利息や利回りを支払うことを禁じる妥協案を提示した。
しかし、Jack Reed(ジャック・リード)上院議員は、その文言をさらに修正する案を提出した。現在の案では、銀行預金の利息や利回りと「経済的または機能的に同等」の支払いが禁じられているが、リード氏はこれを、銀行組織が利息や利回りを支払う方法と「実質的に類似」するものへ変更するよう求めている。
DeFiも焦点となっている。Mark Warner(ワーク・ワーナー)上院議員は「分散型金融における責任あるイノベーション」と題した新条項を提出し、財務省に対して、非分散型金融取引をコントロールする者が証券法をどう遵守すべきか明確化する規則作成を求める内容を盛り込んだ。
共和党側からは、Bill Hagerty(ビル・ハガティ)上院議員が米連邦準備制度理事会(FRB9によるCBDC発行を禁止する修正案を提出した。FRBは議会の明確な承認なしにCBDCを発行しないとしているが、CBDC禁止は一部共和党議員にとって重要課題となっている。
倫理規定も重要な争点だ。トランプ大統領とその家族の暗号資産関連事業への懸念を背景に、Chris Van Hollen(クリス・ヴァン・ホレン)上院議員は、大統領、副大統領、連邦当局者とその家族がデジタル資産を保有または宣伝することを防ぐ修正案を提出した。Elizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)上院議員も、十分な倫理的ガードレールなしに法案を進めるべきではないと主張している。
一方で、Coinbase(コインベース)や業界団体は法案に前向きな姿勢を示している。Coinbaseの政策責任者Faryar Shirzad(ファリヤール・シルザド)氏は、最新案を「強い妥協」と評価した。Blockchain Association(ブロックチェーン協会)とCrypto Council for Innovation(クリプト・カウンシル・フォー・イノベーション)も、米国で金融イノベーションを維持するため法案を進めるべきだと訴えている。
今後、上院銀行委員会が14日に法案を採決し、その後は上院農業委員会版との調整が必要になる。最終案がまとまれば、下院での審議を経て、大統領署名へ進む流れとなる。
|文・編集:Shoko Galaviz
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