・ビットコイン(BTC)は、4月の米生産者物価指数(PPI)が市場予想を大幅に上回ったことを受け、8万ドルを下回った。
・予測市場では、トレーダーが金融政策見通しを急速に織り込み直したことで、2026年に連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを行わない確率が70%超に急上昇した。
・米国投資家の需要低下、ETFからの資金流出、テクニカル指標の悪化により、現在は7万6000ドルのサポートゾーンが焦点となっている。
米PPIの上振れが利下げ期待を打ち砕く、ビットコインは8万ドル割れ
BTC価格は水曜日、8万ドルを下回った。市場が予想を上回るPPIに強く反応し、FRBが高金利をより長く維持する可能性への警戒感が強まったためだ。
最新の4月米PPIレポートによると、総合指数は前月比1.4%上昇し、市場予想の0.5%を大きく上回った。前年同月比では6.0%に加速し、4.9%前後とされていたコンセンサス予想を大幅に上回った。コア指数もアナリスト予想を上回った。

今回の統計は、年間ベースの卸売インフレ率として2022年後半以来の高水準となった。継続する地政学的緊張や原油市場のボラティリティの高まりを背景に、エネルギー価格が大きな要因となった。
イリノイ州を拠点とするシニア・ウェルス・アドバイザーのポール・ノルテ氏はロイターに対し、今回のインフレ指標は今後数カ月以内のFRB利下げ期待をほぼ打ち消すものだと述べた。
「PPIがCPIを上回るペースで高止まりし続ければ、コストを価格転嫁できない企業では利益率が圧迫される可能性がある。今後を見極める必要がある。PPIの高止まりが続くということは、そのコストがいずれ波及するため、CPIも高止まりし続けることを意味する。そして、それはFRBに利下げを見送らせる圧力になる」─ポール・ノルテ、Murphy & Sylvest Wealth Managementのシニア・ウェルス・アドバイザー兼マーケット・ストラテジスト、イリノイ州エルムハースト
インフレショックは、予測市場にも即座に波及した。ポリマーケット(Polymarket)では、2026年中にFRBが利下げを行わない確率が70%を超え、同日中に54%急上昇した。この契約の累計取引高は2500万ドル超に達しており、利下げ期待の後退が市場参加者の間で広がっていることを示唆している。

伝統的金融市場でも同様の傾向が見られた。CME GroupのFedWatch Toolによると、6月利下げの確率は水曜日時点でわずか1.5%となり、前日の1.9%から低下した。

インフレ圧力の高まりは、米ドル高と逆相関になりやすい資産の重荷となった。BTCは、先週金曜日の雇用統計(NFP)後の売り以来初めて、一時8万ドルを下回った。
米国のBTC需要、最新インフレ指標の発表前から弱含み
オンチェーン取引の動向を見ると、直近1週間を通じて米国を中心とする暗号資産需要に弱含みの兆候が見られていた。
「昨日のCPIレポートは、インフレが賃金上昇を打ち消していることを示した。今日のPPIレポートは、卸売インフレが4年間で最大の上昇を記録したことを裏付けている。食料、ガソリン、住居費が急騰している」─ロバート・ライシュ元米労働長官、5月13日
CryptoQuantのCoinbase Premium Indexは、主に米国顧客を抱えるCoinbase(コインベース)での需要を、Binanceの個人投資家フローと比較して示す指標だ。同指数は5月6日以降マイナス圏で推移し、水曜日には一時マイナス0.025まで低下した。

現物ビットコインETFの資金フローにも、米国投資家のセンチメント悪化が表れている。ビットコインETFは5月6日以降、累計で5億ドル超の資金流出を記録したとされ、火曜日だけでも2億3320万ドルが流出した。イーサリアムETFも火曜日に1億3000万ドルの流出となり、1日の流出額としては数カ月ぶりの大きさとなった。
BTC価格予測:BTCは7万6000ドルのサポートゾーンへ深い調整のリスク
テクニカル面では、BTCの短期的な勢いは大きく弱まっている。BTCは先週、8万2000ドルのレジスタンスを上回る勢いを維持できず、直近2取引セッションで約4.5%下落した。現在は3日連続の下落に向かっている。
水曜日の日足ローソク足は、一時7万8740ドル付近の安値を付けた。その後、買い手は記事執筆時点で7万9400ドル付近の値動きを安定させようとしている。
チャートでは、BTCが7万9075ドル付近に位置する20日指数平滑移動平均線(EMA)を再び下回ったことも示されている。これは、5月前半に見られた力強い上昇後、短期的な強気モメンタムが弱まっていることを示唆する。

一方、7万6690ドル付近にある50日移動平均線と100日移動平均線の交差水準は、マクロ要因による売り圧力が強まった場合、次の主要な下値目標となる可能性がある。
モメンタム指標も、弱含みの流れを裏付けている。14日相対力指数(RSI)は、今週前半に買われ過ぎ圏に近い62超まで上昇した後、54.8付近まで急低下した。RSIの下向きの傾きは、強いインフレ指標を受けてトレーダーがリスクエクスポージャーを減らすなか、買いの勢いが引き続き弱まっていることを示している。
BTCが7万9000ドルの心理的サポートを明確に割り込めば、清算圧力が強まり、7万6000ドル付近の50日移動平均線と100日移動平均線に向けて下落が加速する可能性がある。
一方で、予測市場では火曜日の取引終了時点で、BTCが5月中に8万5000ドルを突破する確率がなお40%織り込まれている。
これは、買い手が現在の水準を維持し、マクロ不安が落ち着けば、BTCが8万1500ドルから8万2000ドルのレジスタンス帯に向けて再び反発を試みる可能性がまだ残っていることを示している。



