4月21日、大手暗号資産(仮想通貨)取引所Coinbase(コインベース)が設置した「量子コンピューティング・ブロックチェーン独立諮問委員会」が、初のポジションペーパーを発表した。スタンフォード大学やイーサリアム財団などの研究者が共同で作成した約50ページの文書では、量子コンピューターがブロックチェーンに与えるリスクをチェーンごとに体系的に評価している。
ペーパーでは、十分に強力な量子コンピューターが実現すれば、主要ブロックチェーンの暗号資産を保護する暗号技術が破られる可能性があるとし、そうしたマシンがいずれ開発されるとの見方を示した。
Bitcoin(ビットコイン)については、マイニングやハッシュ関数、過去の取引記録への量子的脅威はほぼないと評価された。その一方で、Ethereum(イーサリアム)やSolana(ソラナ)などのプルーフ・オブ・ステーク(PoS)チェーンには追加のリスクがあると指摘している。バリデータがブロック承認に使用する署名方式に脆弱性があり、 署名データがオンチェーン上に継続的に蓄積されるため、将来の量子コンピューターがそこから秘密鍵を逆算できる恐れがあるという。
対照的に、Algorand(アルゴランド)やAptos(アプトス)は量子耐性への準備が比較的進んでおり、Algorandはメインネット上で量子耐性トランザクションをすでに実行している。Aptosもユーザーが認証鍵を更新するだけで量子耐性に移行できる設計を備えているという。
ただし、現時点で暗号資産を脅かす量子コンピューターは存在せず、実現には少なくとも10年以上かかるとの見方を示した。Coinbaseは「緊急事態になってから対応するのでは遅い」として、業界全体に早期の準備着手を呼びかけている。
|文・編集:井上俊彦
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