東京証券取引所は8月6日、上場後の大幅な事業転換によって上場適格性に懸念が生じる事例を、2月に続いて会議資料で再掲した。
2月の資料では、既存事業とは全く関連のない事業へ転換し、企業の継続性や収益性、コーポレート・ガバナンス、内部管理体制などに懸念が生じる事例が示されていたが、約半年を経ても「問題のある事例」として取り上げ、新規上場審査に準じた再審査制度の新設を検討する方向性を示した。

今回は従来の事業内容の変更に加え、特定の株主によって支配権や経営体制が大きく変わり、新規事業の開始などが複合的に発生するケースも対象候補に追加した。
東証が示した制度のイメージでは、こうした変更によって上場適格性に重大な懸念が生じた場合、新規上場審査に準じた審査を行う。
審査に適合すれば上場を維持し、不適合なら上場廃止とする案に加え、審査中の銘柄であることを表示して投資家に注意を促す案も示した。

東証は制度を検討する背景として、小規模な上場企業で支配権や経営体制が変更された後、事業基盤に懸念のある新規事業が発表され、その資金を名目に大規模な第三者割当増資が行われる事例を挙げた。
こうした一連の動きが不公正ファイナンスに利用された場合、株式の希薄化や資金流出によって既存株主の権利が損なわれるおそれがあるとしている。
一方、今回の資料には、暗号資産(仮想通貨)を戦略的に保有する暗号資産トレジャリー企業(DAT企業)や、特定の上場企業の社名は記載されていない。
日本取引所グループ(JPX)の山道裕己グループCEOも、2月25日の記者会見で、事業内容の大幅な変更を巡る制度について「ビットコイントレジャリー企業など、特定の業種のみをターゲットにしているものではありません」と説明していた。
一方、2月にNADA NEWSが取材した取引所関係者は、「狙い撃ちで特定の業種のみを念頭に置いたものではない。もちろん、(暗号資産トレジャリー企業が)全く含まれないという意味にはならない」と話していた。
東証は、事業内容や経営体制の大幅な変更によって、企業の継続性や収益性、ガバナンス、内部管理体制などに重大な懸念が生じる場合を、再審査の対象候補として示している。
|文:平木 昌宏
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