DCPとインフキュリオン、オンチェーン金融で提携──カード、給付金、目的別貯金を共同検討

DCP(旧ディーカレットDCP)と、BaaS(Banking as a Service)や組み込み金融(Embedded Finance)を展開するインフキュリオンは7月14日、オンチェーン金融の社会実装に向けた共同検討を開始すると発表した。両社は基本合意書(MOU)を締結し、トークン化預金「DCJPY」を活用した決済サービスや新たな金融サービスの実現を目指す。

AIエージェントが自律的に決済を行う「エージェンティックコマース」の普及も見据え、カード決済や給付金、目的別貯金といった具体的なユースケースの検討を進める。 20260714_インフキュリオンとDCPがトークン化預金によるオンチェーン金融の社会実装に向けた共同検討を開始_pr.docx

カード決済・給付金・目的別貯金でDCJPY活用へ

今回の提携では、DCJPYを活用した3つのユースケースを中心に検討を進める。

1つ目は、トークン化預金「DCJPY」と、インフキュリオンが提供するカード発行プラットフォーム「Xard」および与信・決済基盤「Axios」の連携。DCJPYを導入した銀行がデビットカードを容易に発行できる仕組みを目指すほか、カード利用者が返済日を柔軟に設定できるサービスや、加盟店のキャッシュフロー改善につながる仕組みも検討する。

2つ目は、DCJPYで受け取った給付金や助成金を、インフキュリオンの決済端末サービス「Anywhere」で利用できるようにする取り組み。紙の商品券やクーポンに代わるデジタル給付を想定し、事務負担の軽減と、行政が意図した用途での利用促進を目指す。

3つ目は、目的別貯金アプリ「Finbee」とDCJPYの連携。「Save Now Pay Later(SNPL)」と呼ぶ仕組みを通じ、目標額まで自動的に積み立てた資金を、そのまま決済に利用できるサービスを検討する。

インフキュリオンはこれまで、BaaSや組み込み金融分野で金融機関や事業会社向けの決済基盤を提供してきた。一方、DCPはトークン化預金「DCJPY」のプラットフォームを展開している。

両社は今回の共同検討を通じ、銀行預金の安全性を維持しながら、柔軟でプログラム可能な決済環境の実現を目指すとしている。

ゆうちょ銀行も掲げる「目的別貯金」との接点

今回の発表で注目されるのが、3つ目の「目的別貯金」のユースケースだ。目的別貯金は、ゆうちょ銀行が中期経営計画で示したトークン化預金の代表的な活用例とも重なる。

ゆうちょ銀行は昨年9月、DCP(当時はディーカレットDCP)が提供するDCJPYプラットフォームを活用し、貯金者向けのトークン化預金「ゆうちょDCJPY」を2026年度中に発行する方針を発表している。利用者は預金残高の一部を「ゆうちょDCJPY」に変換し、ブロックチェーン上で管理・利用できるようになる構想だ。

さらに、今年5月に公表した中期経営計画では、「ゆうちょDCJPY」の代表的なユースケースの一つとして「目的別貯金等への活用」を掲げている。トークン化預金をプログラム可能な資産として活用し、用途や利用時期をあらかじめ設定した資金管理を可能にする構想を示している。

共同検討の対象となっているFinbeeは、まさに目的別貯金サービスであり、トークン化預金の具体的なユースケースの一つとして注目される。

今回の提携は、Web3領域に閉じた取り組みではなく、既存の決済・金融サービスとオンチェーン金融を接続する動きと位置付けられる。カード決済や行政給付、貯蓄サービスといった生活に身近な領域で具体的なユースケースの検討が始まったことで、トークン化預金の社会実装がどこまで進むのか、今後の動向が注目される。

|文:NADA NEWS編集部
|画像:リリースより作成
※本文を一部修正して、更新しました。9時14分

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