国際通貨基金(IMF)は7月10日、ドル建てステーブルコインが固定・管理為替相場制の国で外貨アクセスを改善する一方、通貨危機時には取り付けを増幅しかねないとするワーキングペーパーを公表した。
「Stablecoins and Fragility in Fixed Exchange Rate Regimes(ステーブルコインと固定為替レート制度の脆弱性)」と題されたこの論文は、エコノミストのBrandon Joel Tan(ブランドン・ジョエル・タン)氏が執筆した。
銀行や公式の両替経路が需要を満たせない場合、ステーブルコインはドル入手を助けるとタン氏は述べている。
だが、公式レートと実勢の乖離が大きい局面では、自国通貨売りを招く恐れがあり、規制当局は大口やパニック的な取引に一時的な制限が必要になり得ると警告した。
タン氏は、ステーブルコインが「ドルに似た資産へのアクセスを容易にする」と同時にドル需要に対して常時更新される価格を生むと指摘する。これは、従来は分散し不透明だった闇市場のドル相場が、取引所で常時更新される可視的な価格に集約され、ドル不足を示すリアルタイムの指標になることを意味する。
論文によるとモデル試算では、危機の発生確率は現金のみの経済で平均3.9%、ステーブルコインが普及した経済で7.4%へ上昇する。
人々の暮らし向きへの影響も、乖離が小さい間はプラスだが一定水準を超えると反転し、乖離が最大の局面では-6.3%まで落ち込むという。実例として、2024年に暗号資産(仮想資産)取引を解禁したボリビアでは、テザー(USDT)建ての価格が並行市場の参照レートとして定着した。
|文・編集:井上 俊彦
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