国際通貨基金(IMF)は7月2日、「トークン化は世界の金融構造を変える可能性がある(Tokenization Can Change the World’s Financial Architecture)」と題したブログ記事で、トークン化が金融市場の運営方法を根本的に変える可能性があると述べた。
IMFの金融顧問兼金融資本市場局長を務めるTobias Adrian(トビアス・エイドリアン)氏はブログの中で、トークン化は決済の高速化やコスト低減といった技術的な改良にとどまらず、金融システムの構造そのものを変えるとしている。
エイドリアン氏は、資産や負債が共有デジタル台帳上に移ることで、執行・清算・決済といった一連のプロセスがほぼ同時に処理され、数日を要してきた作業がほぼ瞬時に完了すると指摘した。
一方で、リスクが銀行や投資ファンドといった仲介機関から、取引を管理するプラットフォームやコードへ移ると警告し、同氏は「摩擦は消えるが、緩衝材も消える」と表現した。担保請求の自動化などにより、規制当局が対応する前に障害が連鎖しかねないとしている。
また、民間が発行するグローバルなステーブルコインが主要な決済手段になれば、急速な通貨代替や金融主権の浸食が起きやすくなると懸念を示した。
コンサルティング大手PwCも昨年、トークン化が決済や資産所有権の移転などの非効率を解消しうると分析した報告書を公表し、約1兆5000億ドル(240兆円、1ドル=160円換算)規模のプライベートクレジット市場などを有力な対象として挙げている。
エイドリアン氏は、トークン化された金融の将来が、公的・民間マネーの役割、相互運用性、法的枠組み、コードのガバナンス、流動性の下支えといった政策判断に左右されると強調し、国内の政策枠組みに加えて国際的な協調が不可欠だとしている。
|文・編集:井上 俊彦
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