・イーサリアム(ETH)は6月23日、イーサリアム財団が戦略的再編の一環として20%の人員削減を発表したことを受け、5%下落した。
・Coinglassのデータによると、過去24時間でETH関連ポジションの清算額は1億5700万ドルに達し、ロングポジションが清算額の約90%を占めた。
・イーサリアム財団は財務不安をめぐる憶測を否定し、資金は長期的なエコシステム成長に振り向けると強調した。
イーサリアム財団の再編が重荷に、ETHは主要なテクニカルサポートを失う
ETH価格は6月23日火曜日、約5%下落した。イーサリアム財団が従業員を約20%削減したとのニュースを受け、ETHは1700ドル付近にある20日単純移動平均線を下回った。
公式発表を補足する形で、イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏は、イーサリアム財団が2026年予算も約40%削減する方針であることを明らかにした。長期的な年間支出を、財務資産の約15%から、2030年以降は持続可能な基準となる5%まで引き下げることを目指すという。
イーサリアム財団は、資金繰り不安をめぐる憶測を否定した。今回の削減は実行体制を効率化し、エコシステム成長を含む他の戦略にリソースを振り向けるためだと説明している。Arkham Intelligenceによると、スイス・ツークに拠点を置く同財団は6月23日時点で10万2702ETHを保有しており、これは2020年以来の低水準だ。
「長期的には、私は個人的にイーサリアムについて「soft lean-and-done」、つまり緩やかに機能を絞り込み、完成後は大きな追加を抑えるアプローチを支持している。Strawmapが完了した後は、基本的にセキュリティ修正と価値の高い小規模な変更に絞り、プロトコルに新機能を追加する際の基準を大幅に引き上げるべきだ。」─ヴィタリック・ブテリン、6月23日
しかし市場は、この発表を新たな不確実要因として受け止めた。イーサリアムは他のレイヤー1ネットワークとの競争激化に直面し続けており、ネットワーク収益の成長をめぐる疑問も高まっている。

Coinglassのデリバティブデータによると、発表後24時間でETHの清算額は約1億5700万ドルに達した。損失の大半はロングポジションを取っていたトレーダーに集中し、ロングポジションの清算額は約1億4000万ドルにのぼった。一方、ショートポジションの清算額はわずか1700万ドルにとどまった。
この大きな偏りは、今回の値動きが積極的な新規ショートの積み増しではなく、強気のレバレッジポジションが強制的に巻き戻されたことによって主に引き起こされたことを示している。
テクニカル指標と予測市場は、売り圧力が一巡しつつある可能性を示唆
ETHは序盤から強い売り圧力を受けた。最も急激な下落は米東部時間午前10時ごろに起き、価格は日中安値となる1620ドル付近まで下落した。この動きによって清算が相次いだが、その後は午後から夕方にかけて買い手が徐々に入り始めた。ETHは最終的に下げ幅の一部を取り戻し、安値を大きく上回って取引を終えたものの、日足では約3%安となった。終盤の買いにより、価格は1660〜1670ドル付近まで押し戻された。
テクニカル面では、モメンタム指標は強気・弱気のいずれかが明確に優勢とは示していない。ETHは1700ドル付近のボリンジャーバンド中央線、つまり20日単純移動平均線を下回った。下限バンドのサポートは1574ドル付近、上限バンドのレジスタンスは1814ドル付近に形成されている。過去の傾向では、終値で中央線を下回る状態が続くと、下限バンドのサポートを試す展開になりやすい。そのため、売り圧力が続く場合は1550〜1575ドルのゾーンが焦点となる。

一方で、1694ドル付近にある20日単純移動平均線を回復すれば、目先の弱気構造の多くは打ち消される。その場合、注目は1800〜1900ドルのレジスタンスゾーンに移る。Hyperliquidの清算データでは、この水準にショート側の大きなレバレッジが確認されている。
ただし、モメンタム指標はまだ本格的な弱気転換を示していない。MACDヒストグラムは15.75でプラス圏を維持しており、6月安値からの上昇モメンタムが完全には失われていないことを示している。より重要なのは、MACDラインがシグナルラインを上回ったままである点だ。勢いは弱まりつつあるものの、広い意味での回復構造はテクニカル上、なお維持されている。
Kalshiの予測市場データからは、トレーダーの見通しについて追加の手がかりが得られる。過去24時間で21%下方修正されたにもかかわらず、Kalshiのトレーダーは、6月26日金曜日の週末時点でETHが1650ドルを上回っている確率をなお63%と見ている。一方、1690ドルを上回って引ける確率は39%にとどまり、1730ドル超へ一段と回復する確率はわずか19%だった。

この分布は、トレーダーが短期的にはETHのレンジ相場を広く想定していることを示している。1650〜1690ドルのゾーンが、最も可能性の高い保ち合いレンジとして意識されている。より高い価格目標に付与された確率が比較的低いことは、急速な強気ブレイクアウトへの信頼感が限られていることを示す。
予測市場も、この見方を裏付けているようだ。トレーダーは主要レジスタンスを直ちに上抜ける回復への期待を引き下げているが、現在の市場価格は、ETHが継続的に大きく崩れる展開までは織り込んでいない。むしろ、市場が最近の清算の影響を消化する中で、主要なサポート帯とレジスタンス帯の間で長めのもみ合いが続く可能性をより高く見積もっているようだ。
現時点で、ETHは2つの相反する力の間で揺れている。デリバティブ市場では、レバレッジをかけたロングポジションに起因する下落リスクがなお高い。一方で、テクニカル指標は、最近の売りが、強制的な売り圧力が薄れ始める水準に近づいている可能性を示しつつある。次の決定的な動きは、1600ドルを下回る大きな清算クラスターが意識される前に、現物の買い手が現れるかどうかにかかっている。



