ETH、ヴィタリック氏発言後の上昇続かず──2100ドル割れで2300万ドル規模の清算【価格分析】

・ヴィタリック・ブテリン氏が、イーサリアム財団は「ETH売却を減らす」と述べたことを受け、イーサリアム(ETH)は一時3%上昇し、2141ドルを付けた。
・ブテリン氏は、自身の純資産の約90%をETHで保有していると説明した。別途、オンチェーン上の法定通貨建て資産4000万ドルを保有していることも明かしており、純資産は約4億ドル規模とみられる。
・ETHは2100ドルを維持できず、12時間以内に2300万ドル相当のポジションが清算された。その大半はロングだった。

ヴィタリック氏、イーサリアム財団はETH売却を減らすと表明──より分散化されたリーダーシップ体制へ

ETH価格は、創設者のヴィタリック・ブテリン氏が日曜日に発表した長文の声明を受けて3%上昇し、一時2141ドルまで値を上げた。しかし、追随する買い需要は弱く、数時間のうちに2100ドルを下回る水準まで押し戻された。声明はイーサリアム財団の次の段階に焦点を当てたもので、ブテリン氏は、理事会の拡大に伴い、自身の組織内での権限は今後も低下していくと述べた。

ブテリン氏によると、現在イーサリアム財団が保有するETHは供給量全体のわずか0.16%にとどまっており、ネットワークに対する長期的な中心的影響力を弱めつつあるという。

日曜日の長文声明で、ブテリン氏は、イーサリアム財団はもともとイーサリアムの恒久的な管理者になることを意図していなかったと説明した。そのうえで、宮口あや氏と拡大された理事会のメンバーが段階的な移行を進めるなか、自身の財団内での影響力は今後も低下していくと述べた。

「イーサリアム財団は、残されたリソースを活動範囲の拡大ではなく、長期的な存続を優先するために使うことを選んでいる。つまり、われわれはETH売却を減らすということだ」──ヴィタリック・ブテリン、2026年5月25日

この声明は、イーサリアムの組織的な行動が、もはや公に掲げる理念を反映していないのではないかという批判に応えるものでもあった。ブテリン氏は、実行速度や事業開発を最大化することよりも、分散化の原則を守ることをより重視していると述べた。

同氏は、イーサリアムが直面する文化的な課題を、初期の「邪悪になるな」という理念から離れていったGoogleの変化になぞらえた。ブテリン氏は、現代のテクノロジー企業が監視、利益最大化、政府との連携へと傾きつつあると警告した。

ブテリン氏は、ウォレットのプライバシー、公開メモリプールへのアクセス、形式検証を戦略上の優先事項として挙げた。イーサリアム財団は今後、検閲耐性と仲介者の最小化を支えるインフラに、より焦点を絞る方針だという。

また、ブテリン氏は、自身の純資産が4億ドル近いことも暗に示した。同氏は、個人資産の約90%をETHで保有しており、さらに4000万ドル相当をオープンソースプロジェクト向けに割り当てていると述べた。

ヴィタリック氏の声明でETHは一時上昇も2100ドルで失速、2300万ドル規模の清算が発生

ETHは一時2%上昇し、2141ドルまで買われた。しかし、ブテリン氏のX投稿後、12時間以内に2300万ドル超のETHポジションが清算されるなか、2100ドルを下回る水準へ反落した。

Liquidity heatmap dashboard showing token liquidity; ETH $23.01M, BTC $18.16M, Others $7.30M with green/red blocks representing levels of liquidity.
<イーサリアム(ETH)無期限先物の清算|出所:Coinglass>

Coinglassによると、ETHの清算額はビットコイン(BTC)の1800万ドルを上回った。BTCは時価総額も先物の未決済建玉もETHを大きく上回っているにもかかわらず、ETHの清算額が上回ったことになる。この偏りは、ETHトレーダーが今回の上昇局面に、より積極的なレバレッジをかけて入っていたことを示している。

反落局面で最も大きな打撃を受けたのはロング勢だった。データによると、強気のETHポジション約1700万ドルが清算された一方、ショート勢の損失は約600万ドルだった。この清算の内訳は、トレーダーが当初は上昇の勢いを追いかけたものの、追随する買い需要が弱く、2100ドル付近でラリーが失速したことを示している。

ETH価格見通し──強気派が2215ドルを回復できなければ、ETHは2006ドルを試すリスク

日足チャートでは、ETHは2096ドル付近で推移しており、ドンチャン・チャネルのミッドラインである2215.32ドルを下回っている。このミッドラインは現在、最初の大きな回復水準として機能している。ETHがこの水準を回復するまでは、反発局面で売りが出やすい状態が続く。

ドンチャン・チャネルを見ると、ETHは下限の2006.64ドルに近い位置にとどまっており、上限は2424ドルと大きく上にある。価格が下限付近で推移していることは、売り手がなおモメンタムを支配していることを意味する。ETHが2090ドルを明確に割り込めば、次に意識される下値水準は2006ドルとなる。日足終値で2006ドルを下回れば、1950〜1900ドルのレンジが視野に入る。

Daily ETH/USD candlestick chart from Coinbase showing a downtrend with red and green candles; price near 2,090 as of the latest bar, blue trend line overlay.
<ETH価格のテクニカル分析|出所:TradingView、5月25日>

Bitfinexでは、USDやUSDTを借り入れてETHポジションを積み上げていたトレーダーが、引き続きリスクエクスポージャーを縮小している。チャートを見る限り、ヴィタリック氏の声明後にETHが2140ドル付近まで上昇したにもかかわらず、日曜日にロング比率の目立った回復は見られなかった。

通常、強い押し目買いの動きがあれば、反発を見込んだトレーダーが参入し、ロング比率は急回復する。だが今回は、ポジションがじりじりと低下し続けており、買い手がなお慎重で、市場の信頼感がまだ戻っていないことを示している。特に月曜日は米国市場がメモリアルデーで休場となっており、慎重姿勢が強まりやすい環境だった。

積極的にレバレッジを再び積み増す動きが見られないことは、トレーダーが現在の反発を新規ロングの機会ではなく、ETHエクスポージャーを減らす機会として見ている可能性を示している。

ETHが2090〜2050ドルの支持帯を失えば、ロング比率の低下を踏まえると、売り圧力を素早く吸収できるほどのレバレッジを伴った買い需要が不足する可能性がある。その場合、チャネル下限の支持線である2006ドルに向けて下値を試す確率が高まる。今週、暗号資産市場全体のセンチメントが悪化すれば、心理的節目である1950ドル付近まで下落が広がる可能性もある。

強気派が主導権を取り戻すには、まず2141ドルを回復する必要がある。ここは、ヴィタリック氏の声明後の上昇が売りの壁にぶつかった水準である。

そのうえで、ETHはドンチャン・チャネルのミッドバンド抵抗線である2215ドルを、明確なレバレッジ積み増しを伴って回復する必要がある。この2つのシグナルがそろわない限り、ヴィタリック・ブテリン氏の「ETH売却を減らす」との発言で短期的な楽観が生まれたとしても、現在の相場構造はなお防御的なポジション取りと高いボラティリティを示唆している。

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