暗号資産の申告率は1.76%──日本は19.78%で突出、なぜ世界1位なのか【専門税理士の「分離課税」解剖連載①】

「暗号資産の税金、みんなどうしてる?」と気になる投資家は多いだろう。

実は、世界的に見ると暗号資産の税務申告率は驚くほど低い。しかし、なんと日本はその申告率で世界1位となっているのだ。

ついに法案が成立した暗号資産の分離課税だが、実際の適用は金商法の改正・施行を待って2028年(令和10年)1月になる見込みだ。「まだ先の話」と油断していると、いざという時に複雑な新税制の落とし穴にハマるかもしれない。

そこで今回から、分離課税がスタートする前に投資家が正しい知識を身につけるための新連載「泉税理士が読み解く!暗号資産『分離課税』のリアル」をスタートする。

租税法に詳しい泉絢也税理士の解説記事をベースに、Web3投資家や事業者が知っておくべき税務の実態をわかりやすくお届けしていく。

第1回のテーマは「世界の申告率の実態と、海外取引の監視強化」について。今の日本の申告環境がいかに特殊か、そして海外取引の「バレない」神話がいかに危険かを知るための重要なデータを見ていこう。

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本記事は、泉税理士のブログ記事『世界の暗号資産申告率はわずか1.76% 日本が19.78%で世界1位、Divly 2026年グローバル暗号資産課税レポートを読む』を元に、編集部で要約・再構成したものです。
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世界の申告率はわずか1.7%。日本は19.78%で世界1位

スウェーデンの暗号資産税務ソフトウェア会社Divlyが公表した「Global Crypto Taxation Report 2026」によると、世界全体で暗号資産保有者のうち税務申告をしているのは推計1.76%(楽観シナリオでも3.00%)。言い換えれば、「57人に1人」しか申告していない計算になる。

そんな中、日本は申告率19.78%を記録し、世界1位にランクインした。これは単に「日本人が真面目だから」という精神論ではない。他国にはない恵まれた「制度設計と業界インフラ」が機能している結果だと、国際的にも高く評価されているのだ。

なぜ日本は1位? 申告を後押しする「3つの理由」

同レポートでは、日本の申告率が突出して高い要因として以下の3点を挙げている。

① 「総平均法」の採用による計算の簡素化

日本では取得費の計算に、原則として「総平均法」が適用される。

米国などで用いられる「個別法(Specific Identification)」―売却時に納税者がどの取得分を譲渡したかを特定し、その取得価額を用いる方式―では、取得分ごとの記録管理が必要になるが、総平均法ではそうした個別の追跡が不要であり、計算事務が大幅に簡素化されている。

ただし、泉税理士はこの「総平均法」特有の問題点も指摘している。

【泉税理士の解説:総平均法の問題点】
「年後半に価格が上昇した局面では、高値での取得が年間平均を押し上げるため、年前半の売却利益が圧縮される傾向があります。逆に年後半に価格が下落すれば、利益が膨らむ方向に作用します。(中略)

この仕組みを逆手に取れば、年末に向けた取得のタイミングや数量を調整することで、当年度の利益を意図的に圧縮する余地がある点も指摘されています」

② 年間取引報告書の整備

国内の暗号資産交換業者が、国税庁のツールに対応した形式で「年間取引報告書」を利用者に発行する。これにより、「自分で全取引を集計する」という最大のハードルが解消されている。

③ 業界団体の取り組み

JCBA(日本暗号資産ビジネス協会)などが、税務申告に対応した取引履歴フォーマットの標準化を推進している。

投資家は要注意! 海外取引は今後「バレる」時代へ

日本の申告環境が整っているとはいえ、Divlyのレポートによれば、それでも5人に1人しか申告していないことになる。

特に、DeFi(分散型金融)や海外取引所(CEX)での取引は年間取引報告書の対象外であり、この数字に反映されていない未申告のケースも多いと見られる。

「海外取引所ならバレないのでは?」と考える投資家もいるかもしれないが、その考えは非常に危険だ。泉税理士は、今後の国際的な監視網の強化について次のように警鐘を鳴らす。

【泉税理士の解説:CARFによる情報共有の本格化】
「OECDの暗号資産報告フレームワーク(CARF)のもとで、2026年の取引データはすでに各国税務当局への報告パイプラインに入り始めており、当局への情報集積は2027年以降に本格化します。

外国の暗号資産交換業者を通じた取引情報がCARFを通じて国税庁に自動的に提供されるようになれば、現在は把握が難しい海外取引への税務調査の対応が変わる可能性があります。AIを活用した調査対象の選定と組み合わせることで、税務当局の執行能力は大幅に強化されるでしょう」

つまり、早ければ2027年にも、海外取引所の利用状況が日本の国税庁に筒抜けになる可能性があるのだ。

複雑化する税制、今のうちに正しい申告環境を

世界的に見ても、暗号資産の税制は国によって全く異なり、非常に複雑だ(PwCのレポートによれば、世界58法域でバラバラの状況)。しかし、当局側の情報収集能力はCARFなどを通じて年々確実に高まっている。

日本の投資家は、せっかく整備された国内の優れた申告インフラを最大限に活用し、今のうちからDeFiや海外取引を含めた正確な損益計算の体制を整えておくべきだろう。

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■ 監修者プロフィール・元記事のご案内

さらに詳しい「国別の申告率データ」や、米国のユーザー調査が示す「申告したいのにできない構造」などについては、泉先生のブログ記事本編にて詳細に解説されています。ぜひ併せてご覧ください。

▼元記事を詳しく読む
世界の暗号資産申告率はわずか1.76% 日本が19.78%で世界1位、 Divly 2026年グローバル暗号資産課税レポートを読む(泉絢也税理士事務所)

▼監修者プロフィール
泉 絢也(いずみ じゅんや)

税理士・東洋大学法学部教授、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)税制部会顧問。元国税職員(国税調査官)。博士(会計学・中央大学)。専門は租税法。暗号資産・NFTの税務、AIと税務、税務調査を主な研究テーマとする。著書に『事例でわかる!NFT・暗号資産の税務〔第2版〕』(中央経済社・共著)、『パブリックコメントと租税法』(日本評論社・単著)など。

|編集:栃山直樹
|画像:NADA NEWS制作

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