米上院は4月30日、上院議員による予測市場での取引を禁止する決議を全会一致で可決した。これを受けて、上院議員が予測市場で取引することは即時に禁止される。
この決議は、オハイオ州選出の共和党上院議員Bernie Moreno(バーニー・モレノ)氏が先週提出したものだ。上院の常設規則は議員の行動規範を定めるものであり、今回の決議は、予測市場の拡大に伴って高まるインサイダー取引への懸念に対応する狙いがある。
モレノ氏は、「議会で務めることは名誉であり、副業ではない」と述べ、米国民は指導者たちが正しい理由でその職に就いていると知る権利があると強調した。
予測市場をめぐるインサイダー懸念は、米政界で大きな議論となっている。1月にはPolymarket(ポリマーケット)上のあるアカウントが、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が月末までに「退任する」とする契約に賭け、40万ドル(約6200万円、1ドル=155円換算)の利益を得たことで、内部情報の利用を疑う声が強まった。
その後、現役の米陸軍兵士である38歳のGannon Ken Van Dyke(ガノン・ケン・ヴァン・ダイク)被告がこの件に関連して起訴された。検察は、同被告が機密情報を利用してその賭けを行ったと主張している。
こうした事例を背景に、予測市場の運営企業側も市場の信頼性確保に動いている。主要な予測市場の一つであるKalshi(カルシ)は、インサイダー取引を排除するための措置を講じていると説明しており、ここ数カ月で関連事例を公表している。先週には、自身の選挙に関する市場で賭けを行った候補者を含む3件のインサイダー事案を開示し、罰金と利用停止処分を科したという。
Polymarket(ポリマーケット)も、内部者による取引を防ぎ、市場の健全性を確保するための技術的な保護策を導入している。今回の上院決議について、ポリマーケットはXで全面的に支持すると表明した。同社は、自社のルールブックと利用規約ではすでにこうした行為を禁止しているとしたうえで、それを法律として明文化することは業界にとって前進だと述べた。
カルシの創業者Tarek Mansour(タレク・マンスール)氏も、この決議を「素晴らしい一歩」と評価した。さらに同氏は、次は下院でもこの措置を通すべきだと述べている。
州レベルでも同様の動きが出ている。ニューヨーク州とイリノイ州はここ数日、州職員が公務を通じて得た非公開情報を使って予測市場で賭けることを禁じる行政命令を出した。連邦議会だけでなく、州政府でも公職者や職員による予測市場利用への規制が強まりつつある。
予測市場は、選挙、政治、国際情勢、経済イベントなど、将来の出来事について参加者が取引する仕組みだ。市場価格が出来事の発生確率を反映するとされる一方で、政治家、政府職員、軍関係者などが非公開情報を持つ立場で参加すれば、市場の公平性が損なわれる可能性がある。
|文・編集:Shoko Galaviz
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