暗号資産は「金融を再発明」するのか——金商法移行のその先【編集長コラム】

「普通の人はまず読めないと思う」

弁護士の斎藤創氏は、金融庁が公表した暗号資産の金商法移行に関する改正案について、Xでそう指摘した。

実際、金融商品取引法(金商法)は、条文や政省令をまたいで理解しなければならない複雑な体系を持つ。だが、ここで重要なのは「読みにくさ」の話ではない。今回の改正が、暗号資産の位置づけそのものを変えようとしていることだ。

今回の改正案では、暗号資産はこれまでの「資金決済法」ではなく、「金商法」の枠組みに組み込まれる。これは単なる所管法令の変更ではない。暗号資産を、日本の法体系のなかで「何として扱うのか」という再定義だ。

これまで暗号資産は、法的には決済手段として位置づけられていた。だが金商法の枠組みに入るということは、株式や債券と同じように、「投資対象としての資産」という視点がより強まることを意味する。

NADA NEWSは、昨年末、CoinDesk JAPANからリブランディングした。

「coin」ではなく、New Atlas for Digital Assetとして「Digital Asset」を掲げたのは、bitcoinに代表される暗号資産はもちろん、そこから拡がっているステーブルコイン、トークン化RWA、そしてDeFi(分散型金融)と既存金融(TradFi)の融合まで、より広い変化を見据えているからだ。

暗号資産は、もともと「自由」を志向し、既存の金融システムの外側から生まれた。中央管理者を持たず、国家や銀行システムなどから独立した価値の保存・移転の仕組みとして構想された。bitcoinに象徴されるその思想は、既存金融へのカウンターでもあった。

だが今、状況は大きく変わりつつある。暗号資産は、既存金融と対立する存在ではなく、その内部に入り込み、金融そのものの構造を変える存在になりつつある。

2007年1月、Appleを率いるスティーブ・ジョブズ氏は、iPhoneを初めて発表する際に「電話を再発明する」と宣言した。あの瞬間、電話機は通話のための道具から大きく飛躍した。

同じことが金融にも起きるかもしれない。

2026年4月1日、Appleは創業50周年を迎えた。その節目の年に「金融の再発明」もまた、現実のものとなる。そんな予感がしている。

そういえば、Appleの創業20周年を記念した「Twentieth Anniversary Macintosh」を秋葉原のショップで眺めた記憶がある。思えば遠くに来たものだ。

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