SBIの2本のリリースが気になった──SBI新生銀行の再配置と“SBI VCトレード銀行化”の意味【編集長コラム】

10日以上前のことになるが、SBIホールディングス(SBIHD)が3月19日に発表した2つのリリース「孫会社の異動(孫会社等の子会社化)に関するお知らせ」(SBIホールディングス)、「親会社及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」(SBI新生銀行)は、一見するとグループ内の資本整理にすぎない。

だが、SBIグループを率いる北尾氏のこれまでの発言を思い起こすと、大きな動きの前触れに思える。

SBIHDは、SBI地銀ホールディングスが保有していたSBI新生銀行の全株式(490,000,000株)を、現物配当によりSBIHDに移すと発表した。これにより、SBIHDの保有比率は15.98%から71.22%へ上昇する。

同じタイミングで、SBI新生銀行からも親会社および筆頭株主の異動が開示された。同一の事象を両サイドから開示した形となっており、この資本移動がSBIグループにとって重要な再配置であることを示している。

SBIHDは今回の再編について、SBI新生銀行が2025年7月に公的資金を完済し、同年12月に東京証券取引所へ再上場したことで「子会社化の目的を達成した」と説明している。再建フェーズを終えたSBI新生銀行を、あらためてSBIHD直下に置き、グループの中核銀行として位置付ける動きと読める。

一方で私の頭をよぎったのは、北尾氏が年始のインタビューやFIN/SUMの講演などで、「SBI VCトレードを銀行に変える」と発言していたことだ。

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北尾氏は、SBI VCトレードを現在の伝統的な暗号資産交換業(CEX)の枠を超え、レンディング機能やDeFi(分散型金融)、広く言えば「オンチェーン金融」に対応した次世代金融機関となる「デジタルバンク」へ発展させる構想を示している。

事実、SBI VCトレードは18日、新サービスとして「USDCレンディング」の開始を発表した。米ドル連動型ステーブルコインであるUSDCを、決済手段の枠に留めず、利回りを生み出す金融商品的なものにしようとしている(ただし、募集では「USDCレンディングは外貨預金ではありません」と注意書きされている)。

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とはいえ、日本で銀行免許を取得するのは簡単ではない。銀行法上の免許取得に加え、預金保険制度、自己資本規制、決済システム管理など多くの制度要件がある。

そしてSBIグループは、あえてそのような手間のかかる道を選ぶ必要もない。そう、グループ内には、すでにSBI新生銀行が存在する。

現実的には、既存の銀行機能を持つSBI新生銀行と、暗号資産、そして現時点では国内で唯一、USDCを取り扱うSBI VCトレードをどう組み合わせるかが重要になる。

そして、Startale Group(スターテイル・グループ)への出資も、同じ文脈で捉えることができる。

SBIHDは26日、約5,000万ドル(77.5億円、1ドル=155円換算)を投じてスターテイルを持分法適用関連会社とする方針を発表した。両社はすでに、トークン化された株式・債券やRWA(現実資産)の24時間365日取引を目指すレイヤー1(L1)ブロックチェーン「Strium(ストリウム)」や、円建てステーブルコイン「JPYSC」の開発を進めている。

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銀行、暗号資産取引所、そしてブロックチェーン基盤、ステーブルコインが同時に動き始めている点は、これまで分断されていた金融の各レイヤーが統合に向かっていることを示唆している。

今回のSBI新生銀行をめぐる動きも、その一環と言えるだろう。

北尾氏の「SBI VCトレードを銀行にする」という発言は、SBI VCトレードを単独で銀行に転換するというより、銀行と暗号資産取引所を一体化した「新しい金融プラットフォーム」をつくるという意味かもしれない。

新しい「銀行」の姿が、もう見え始めているのかもしれない。

|文:増田隆幸

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