MoonPay、M0、PayPalが「PYUSDx」発表──アプリ特化型ステーブルコイン基盤を提供

MoonPay(ムーンペイ)とM0は、PayPal(パイペル)と連携し、PayPal USD(PYUSD)を裏付け資産とするアプリケーション特化型ステーブルコインを迅速に発行できる新プラットフォーム「PYUSDx」を発表した。開発者は数日で、独自ブランドのステーブルコインを立ち上げることが可能になるという。

近年、特定のエコシステムやプロトコル、ビジネスモデルに最適化された「アプリ特化型ステーブルコイン」への需要が急拡大している。2025年には、供給額1000万ドル(約15億5000万円、1ドル=155円換算)超の新規ステーブルコイン発行数が、前年比89%増加したとされる。こうした市場環境の中、複雑な技術基盤や運用体制をゼロから構築せずに参入したい開発者ニーズが高まっている。

ムーンペイの共同創業者兼CEO、Ivan Soto-Wright(イヴァン・ソト=ライト)氏は、「アプリケーション層でステーブルコインを開発・管理するには信頼できるインフラが不可欠だ」と述べ、PYUSDxを通じて発行・流通機能を拡張し、開発者の負担を軽減すると強調した。

規制基盤を活用しつつ迅速発行

PYUSDは、米通貨監督庁(OCC)の監督下にあるPaxos Trust Company, N.A.(パクソス・トラスト・カンパニー)が発行する規制済みステーブルコインであり、米ドル預金や米国債などにより1対1で裏付けられている。

一方、PYUSDxはMoonPay Digital Assets Limited(ムーンぺイ・デジタル・アセッツ)が提供するトークン化・発行フレームワークであり、開発者がPYUSDを裏付け資産として活用した独自トークンを発行できる仕組みだ。PYUSDxトークンはPaxos(パクソス)やペイパルが発行するPYUSDそのものではなく、ペイパルやVenmo(ベンモ)のアカウント内での保管・送受信には対応しない点が明示されている。

M0のCEO、Luca Prosperi(ルカ・プロスペリ)氏は、「開発者はこれまでカスタム型ステーブルコイン技術を採用してきたが、迅速に立ち上げられる信頼性の高い基盤がなかった」と述べ、PYUSDxが相互運用性と流動性を備えた環境を提供すると説明した。

主な特徴

PYUSDxは、M0のユニバーサル・ステーブルコイン基盤とムーンペイの発行・流通インフラを組み合わせ、以下の機能を提供する。

  • PYUSDを裏付けとするブランド型ステーブルコイン発行
  • 数日単位での迅速な市場投入
  • 複数ブロックチェーン間での相互運用性
  • オンチェーンによる準備金報告と透明性
  • 柔軟な経済設計

ペイパルの暗号資産(仮想通貨)部門シニアバイスプレジデント、May Zabaneh(メイ・ザバネ)氏は、「次のステーブルコイン普及段階はアプリケーション層で起きている」と述べ、信頼性ある基盤の上で差別化された体験を構築できる意義を強調した。

AIインフラ向けに特化したステーブルコインを開発するUSD.aiが、PYUSDxを活用する最初の事例となる。AI関連アプリケーションにおける決済や価値移転の効率化が想定されている。

ムーンペイは2019年設立以来、180カ国で3000万人超のユーザーを支えるブロックチェーンインフラ企業として成長してきた。500社以上の法人顧客に暗号資産決済やデジタルトークン基盤を提供している。

M0は、安全でプログラム可能かつ相互運用性を持つデジタルドル基盤の構築を掲げるプラットフォームだ。

|文・編集:Shoko Galaviz
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