RumbleとTether、暗号資産ウォレットをローンチ──ビットコインでの「投げ銭」が可能に

米動画共有プラットフォームを運営するRumble Inc.(ランブル)と、世界最大規模のデジタル資産企業であるTether(テザー)は、ランブルプラットフォームに直接統合された非カストディアル型暗号資産(仮想通貨)ウォレット「Rumble Wallet(ランブル・ウォレット)」を正式にローンチした

ランブル・ウォレットは、テザー(USDT)、テザー・ゴールド(XAUt)、ビットコイン(BTC)に対応し、視聴者がクリエイターへ暗号資産で直接チップ(投げ銭)を送ることを可能にする。広告ネットワークや銀行、決済代行業者といった仲介者を介さず、グローバルかつ即時性の高い価値移転を実現する点が大きな特徴だ。

クリエイターと視聴者を「直接」つなぐ設計

ランブル・ウォレットは、暗号資産をプラットフォーム内部に組み込むことで、従来の収益化モデルを大きく変えようとしている。多くの動画プラットフォームでは、広告収益やサブスクリプションを通じてクリエイターが報酬を得る構造が主流だが、その過程では複数の仲介者が関与する。

一方、ランブル・ウォレットでは、視聴者が暗号資産を使って直接クリエイターを支援できるため、支払いは迅速かつボーダーレスに行われる。特に、国境を越えた送金や、従来の金融システムへのアクセスが制限されている地域において、新たな可能性を広げる仕組みと言える。

非カストディアル型でセルフカストディを重視

ランブル・ウォレットは、テザーが開発した「Wallet Development Kit(WDK)」を基盤として構築されている。WDKは、中央集権的なカストディアン(資産管理者)に依存せず、ユーザー自身が秘密鍵と資産を管理できるウォレットを構築するためのツールキットだ。

これにより、ランブル・ウォレットの利用者は、プラットフォームに資産管理を委ねることなく、暗号資産の完全なコントロールを維持できる。テザーにとっても、WDKの初の本格的な実運用事例として位置付けられている。

「自由」を軸にした思想的な一致

ランブルの創業者兼CEOであるChris Pavlovski(クリス・パブロフスキー)氏は、今回の取り組みについて次のように語っている。

「ランブルは言論の自由と自由そのものを象徴している。それは、暗号資産や分散型インターネットが表す自由と同じである。ランブル・ウォレットは、その自然な融合だ。ユーザーとクリエイターの手に、より大きな力を戻すことで、好きなコンテンツを直接支援できるようになる。これは自由な表現とも強く並行する考え方であり、ランブルならではの取り組みだ」

また、テザーのCEOであるPaolo Ardoin(パオロ・アルドイノ)氏も、自由と分散化という観点から今回の協業の意義を強調する。

「テザーは、境界を打ち破り、自由、分散化、そして表現の自由という基本的権利を促進する技術を支持している。ランブル・ウォレットは、これらの理念を一つのプロダクトに統合し、数千万人規模のユーザーに、これまでどのプラットフォームも提供してこなかったレベルのコントロールを与えるものである。可能な限り分散化された形で、インターネットの隅々まで自由と独立を広げていきたいと考えている」

MoonPayが法定通貨との橋渡し

ランブル・ウォレットでは、暗号資産と法定通貨のオンランプ・オフランプを、グローバル決済企業MoonPay(ムーンペイ)が担う。ユーザーは、クレジットカード、Apple Pay、PayPal(ペイパル)、Venmo(ベンモ)などを通じて、暗号資産と従来の決済手段を柔軟に行き来できる。

ムーンペイのCEOであるIvan Soto-Wright(イヴァン・ソト=ライト)氏は、次のようにコメントしている。

「暗号資産によるピアツーピア決済は、インターネット経済の未来である。ランブルは、このモデルを採用する先進的な大規模プラットフォームの一つであり、クリエイターはステーブルコインやビットコインで即座に報酬を受け取り、法定通貨との行き来も容易になる」

クリエイターエコノミーの新たな実験場に

ランブル・ウォレットの登場は、単なる新機能の追加にとどまらず、クリエイターエコノミーの収益構造そのものに対する挑戦とも言える。クリエイターと視聴者を暗号資産で直接つなぐモデルは、今後他のプラットフォームにも影響を与える可能性がある。

|文・編集:Shoko Galaviz
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