ブロックチェーン分析企業Chainalysis(チェイナリシス)の2026年1月のレポートによると、イランの暗号資産(仮想通貨)エコシステムは2025年に前例のない成長を見せ、その規模は78億ドル(約1兆2480億円、1ドル=160円換算)近くに達した。これは、地政学的緊張や国内の政治・経済不安がオンチェーン活動を押し上げた結果であり、暗号資産が同国で重要な役割を果たしていることを示している。
Chainalysisの分析では、この成長の背景には、複数の国内外の紛争・事件があると見られている。国内の政府への抗議活動が高まった局面でビットコイン(BTC)の取引や引き出しが増加したことが確認されており、イランの通貨であるリアルの急落やインフレ、経済的閉塞感が市民を暗号資産へ誘引したと指摘されている。
特に、抗議が激化し、インターネットアクセスが制限された期間には、取引所から個人ウォレットへのBTCの引き出しが急増したという動きが見られた。市民が銀行・伝統的金融から暗号資産へ資金を移す動きを強めていることが示唆される。
さらに、Chainalysisはイラン革命防衛隊(IRGC)に関連するアドレスが暗号資産市場における大きな割合を占めるようになったと指摘する。2025年第4四半期には、IRGCに関連付けられたオンチェーンアクティビティが国内全体の約50%を占めると推定され、前年から拡大しているという。これは、国際的な制裁下での資金移動や地域的な影響力維持のために暗号資産を活用する国家的な動きが増している可能性を示唆するものだ。
Chainalysisは、暗号資産が今後も同国における「逃避資産」や資金移動の手段として重要性を高めると見ている。
|文・編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock