2026年のビットコイン市場をどう見るか──3つのシナリオと注視すべきオンチェーン指標【エックスウィンリサーチ】

●2026年初頭のビットコイン市場は、明確な方向性を欠いた高ボラティリティのレンジ局面にある。
●ベースシナリオは、マクロと金融政策のねじれによる「シナリオA(レンジ構造)」が継続する展開。
●価格よりも、Exchange Netflow、Coinbase Premium、SOPRの構造的変化を優先的に確認すべき局面である。

1.2026年が始まった今、相場はどこにいるのか

2026年に入ったが、ビットコイン市場が新たな上昇トレンドに入ったとは言い切れない。現在の相場は、明確な強気でも弱気でもない、高ボラティリティのレンジ局面にある。ETF導入や供給制約といった中長期の支援材料は存在する。一方で、マクロ環境や米国中間選挙を控えた政治的制約、そしてデリバティブ市場主導の値動きが重なり、価格は一方向に定着しにくい。現時点での方向性は、条件付きで中立〜やや弱気寄りと整理するのが妥当だ。これは下落を断定するものではなく、上方向への確信を支える構造データが、まだ揃っていないためである。

2.2026年に想定される3つのシナリオ(価格帯つき)

ここでは、2026年を考えるうえで想定される3つのシナリオを整理する。いずれも価格予測ではなく、構造に基づく整理である。

シナリオA:ねじれ・レンジ(確率:高い)

利下げ期待は残るが、実体経済の回復は鈍い。金融政策と景気の間にねじれが生じやすい。資金フローは断続的に入るものの、中長期資金として定着しにくい。ETFも短期売買主体になりやすい。この場合、ビットコインは80,000〜140,000ドルの広いレンジで推移しやすい。売買の中心は90,000〜120,000ドル。80,000ドル台は調整時の下値意識、130,000ドル台は材料先行時の上値意識として機能しやすい。

シナリオB:マクロショック(確率:中くらい)

景気後退が明確になり、信用不安や金融ストレスが表面化した場合、リスク資産全体でポジション整理が進む。ETFフローの悪化や清算が重なれば、ビットコインは80,000ドル台を割り込む可能性がある。需給が崩れた場合、50,000ドル台までの深押しも想定範囲に入る。ただし、この水準は長期的には需給が収斂しやすいゾーンでもある。

シナリオC:リスクオン優勢(確率:低い)

金融緩和期待が景気悪化に先行し、ETFを通じた資金流入が定着した場合、市場は再びリスクオンに傾く。この場合、ビットコインは120,000〜170,000ドルを中心に上値を伸ばす可能性がある。条件が揃えば、200,000ドル近辺が意識される局面も考えられる。ただし、これは複数の好条件が同時に成立した場合の限定的な上振れケースである。

3.シナリオAを想定した時の2026年に注視すべきオンチェーンデータ

シナリオA(ねじれ・レンジ)を想定する場合、価格そのものよりも、需給と参加者行動を示すオンチェーン指標の安定性を確認することが重要となる。その際、特に有効なのが、Exchange Netflow、Coinbase Premium Index、SOPRの3指標である。

Exchange Netflowは、取引所へのビットコインの流入・流出を通じて、市場全体の現物需給を直接的に示す指標である。シナリオAでは、フローは一方向に定着せず、流入と流出を断続的に繰り返す傾向が想定される。特に価格調整局面において流出が確認される場合、下値では実需による吸収が機能しており、レンジ構造が維持されている可能性が高い。

Coinbase Premium Indexは、米国市場における現物需要を測る代理指標であり、ETFフローの動きを間接的に反映する。レンジ相場では、Premiumはプラスとマイナスを頻繁に往復しやすく、明確なトレンドは形成されにくい。ただし、調整局面でもPremiumが極端にマイナス化しない場合、ETFを含む米国フローが完全には離脱していないと解釈できる。

SOPRは、オンチェーン上の取引が利益確定か損切りかを示す指標であり、市場参加者の行動を定量的に捉えることができる。シナリオAでは、短期保有者(STH)のSOPRが1を下回る局面が断続的に見られる一方、長期保有者(LTH)のSOPRは1付近を維持しやすい。この構図は、短期的な揺れを伴いながらも、構造的な分配が進んでいないレンジ相場と整合的である。

これら3指標が同時に「需給は崩れていないが、強いトレンドも生まれていない」状態を示している限り、2026年の相場はシナリオAの範囲内にあると整理できる。

4.まとめ

現時点では、2026年のビットコイン市場はレンジ構造が続く可能性が高い。ただし、フローやレバレッジ、オンチェーン構造に明確な変化が確認される場合、この見方は見直す必要がある。未来を予言するのではなく、今の相場を正確に定義し続けること。それが2026年の分析で最も重要な姿勢である。