ふくおかフィナンシャルグループ傘下の「みんなの銀行」は6月12日、都内で開業5周年を記念した記者発表を行った。同行取締役頭取の永吉健一氏が、銀行機能を外部企業へ提供するBaaS(バース、Banking as a Service)事業の戦略について説明したほか、ステーブルコイン決済サービスを手がけるSlash Visionとの基本合意書(MOU)締結を発表した。
同行は2021年5月にサービス提供を開始。国内最大級の地銀グループ発のデジタル銀行として、スマートフォン完結型の銀行サービスを展開している。「デジタルネイティブ世代」を主なターゲットとし、累計口座数は170万を突破している。
永吉氏は7〜8年前の立ち上げ構想を振り返り、「BaaS専業銀行を作る」ことがコンセプトだったと説明。当時はまだBaaSという言葉自体が浸透していなかったとしつつ、新しい形の金融サービスの創出を目指してきたと述べた。

また、昨今のAIエージェントの進化にも触れ、「AIベースで金融取引ができる世界観も、すぐそこまで来ている」との見方を示した。
そのうえで、AIエージェントとの連携も視野に入れているとし、「AIから見て、どの銀行がつなぎやすいのかが選ばれる時代になる」と指摘。APIの接続性や拡張性が、今後の金融サービスの競争力につながるとした。
さらに、「Web3の世界もAIやAPIと親和性が高い」とし、「みんなの銀行からすると、Web3はBaaSの延長線上にある」と説明。検討を進めるトークン化預金やウォレット事業についても、BaaSを通じたパートナーとの接続によって展開していく考えを示した。
同行は実際、昨年7月にはソラナチェーン上でのステーブルコイン発行に向けた技術検証などを目的に、Solana JapanやFireblocks、TISと共同検討を開始すると発表している。
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その後の進捗について永吉氏に聞くと、取り組み自体は継続していると説明。ただ、実際のサービス展開や商用化の時期については「まだそこまでの段階にはない」とし、現在は業務要件やデータ管理、金融サービスとしての設計などを検討している段階だと語った。
また、「小さくてもいいから、何らかのアウトプットを出したい」と述べる一方で、ブロックチェーンの透明性と金融サービスに求められる秘匿性の両立が課題になっているとの認識も示した。
ソラナ基盤という共通点
この日発表されたSlash VisionとのMOU締結は既報の通りだが、協業を進める背景として永吉氏は、ソラナ基盤とターゲット顧客という2つの共通点を挙げた。
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同社は、米ドル建てステーブルコイン「USDC」をチャージして利用できる「Slash Card」を手がけ、β版の提供はすでに始まっている。現在、基盤チェーンに使われているのがソラナだ。

みんなの銀行側でも、RWA(現実資産)のトークン化やステーブルコイン活用に関する検討を進めており、こちらもソラナ上での構築を目指している。永吉氏は「同じチェーン同士の方が、サービスの連携や接続が容易になる」と説明した。
また、Slash Cardの利用者層についても、「デジタルネイティブ世代」が多いとの認識を示し、同行が主な顧客ターゲットとする層との親和性が高いと語った。
永吉氏は、「Web2の世界が既存の銀行口座サービスだとすると、Web3はデジタルウォレットの世界」としたうえで、「Web2とWeb3の間をどれだけシームレスに行き来できるか」を会社として目指していると説明した。
Slash Visionとの具体的なサービス開始時期や提供形態については、「これから詳細を詰めていく」段階としつつも、BaaSを軸にWeb3領域との接続を進めていく考えを強調した。
|取材・文・写真:橋本祐樹
|トップ写真:みんなの銀行頭取の永吉健一氏



