・ビットコイン(BTC)は週末に7万4200ドル付近まで下落し、45日ぶりの安値を付けた後、月曜のアジア時間に7万6000ドルを上回る水準まで反発した。
・投資家が米メモリアルデーに伴う流動性環境や、新たに発表される世界各国のインフレ指標・マクロ経済データを見極めるなか、市場は今週のボラティリティ拡大に備えている。
・Hyperliquidの清算マップデータによると、全体ではショートのレバレッジがロングをやや上回る一方、トレーダーは7万2850ドル付近に大規模なロングの集中帯を形成している。
メモリアルデーで流動性が薄くなるなか、ウォーシュ体制初のインフレ指標が今週のBTC見通しを左右
BTCは週末に7万4200ドルまで下落した後、月曜早朝のアジア時間に7万6000ドル台を回復した。7万4200ドルは4月20日以来、45日ぶりの安値となる。米国市場がメモリアルデーの祝日で休場となるため、市場では流動性低下への警戒感が高まっている。さらに、新たにFRB議長に就任したケビン・ウォーシュのもとで初めて発表される一連のマクロ経済データから、FRBのよりタカ派的なシグナルが示されるとの見方も出ている。

今週、トレーダーは米コアPCE価格指数に加え、個人支出データ、新規失業保険申請件数、シカゴ連銀全米活動指数を注視している。
5月28日木曜に発表予定のコアPCEは、FRBが重視するインフレ指標であり、最も大きな注目を集める見通しだ。前回の数値は3.2%で、市場予想では3.3%への上昇が見込まれている。インフレが予想を上回った場合や、個人支出が過熱を示す内容となった場合、ドル高がさらに強まり、BTC価格の重しとなる可能性がある。

米小売売上高が前年同月比4.9%増と、市場予想の3.4%増を大きく上回ったことを受け、DXYは5月14日に98へ上昇した。以降、BTCは7%下落し、8万ドルを下回る水準で上値を抑えられている一方、BTCとDXYの相関係数は急低下している。
特に、5月25日月曜時点でBTCとDXY米ドル指数の相関係数はマイナス0.44まで低下している。これは、今後のマクロ指標がドル需要をさらに押し上げれば、BTCが下方向に大きく振れるリスクを示している。
先週は、中国のインフレデータが国内需要の弱さを示した。一方で、ケビン・ウォーシュのFRB議長就任宣誓と、FRBのクリストファー・ウォラー理事の発言は、FRBが利上げに動く可能性があるとの見方を強めた。
BTCは先週、約4%下落して取引を終え、2週連続の週足下落となった。中東情勢をめぐる不透明感を背景に、トレーダーが防御的なポジションへ移行したことで、下落は週末にも広がった。Polymarketで米国とイランが5月中に新たな停戦延長を発表するとの確率は、月曜早朝に45%から38%へ低下した。

アジア市場では、日本が東京コアCPI、鉱工業生産、小売売上高、失業率を発表する予定であり、いずれも円のボラティリティに影響を与える可能性がある。中国の対内直接投資の数値や、インドの財政支出に関する動向も注視される。トレーダーは、長期化する米イラン紛争が世界規模で及ぼす影響を見極めようとしている。
オーストラリアも月次CPI指標、建設工事完了額、民間設備投資の数値を発表する予定であり、世界的なインフレ動向と投資家心理を読むうえで重要な材料となる。
欧州では、ドイツの輸入・輸出物価データに加え、フランスとイタリアの企業信頼感指数が発表される。これらは、産業需要をめぐる新たな手掛かりとなる可能性がある。
Hyperliquidトレーダーはボラティリティ拡大を見込み、7万3000ドル付近にBTCロングを集中
月曜はメモリアルデーのため、米国の株式市場と債券市場が休場となる。これを受け、投機的な資金フローのより大きな割合が、Hyperliquidのような24時間取引可能な暗号資産デリバティブ市場へ向かうとトレーダーは見ている。
分散型パーペチュアル先物取引所であるHyperliquidは、伝統的市場が休場となる局面で、マクロ要因に基づくポジション形成の主要な場として存在感を高めている。ブルームバーグは最近、米イラン紛争の初期段階で、トレーダーが原油関連や地政学的リスクに絡むボラティリティ取引へ積極的に資金を移したことで、Hyperliquidの取引高が急増したと報じた。
月曜のリアルタイム清算マップデータでは、Hyperliquidのトレーダーが、主要取引所全体のポジション集計よりも弱気に傾いていることが示された。BTCのショートレバレッジ総量は9560BTCで、ロングポジションの9190BTCを上回った。BTCが7万6000ドル台を回復したにもかかわらず、ショート優勢がやや残っている形だ。

ただし、清算が集中しやすい価格帯を詳しく見ると、トレーダーはより低い支持線付近での積極的な押し目買いにも備えている可能性がある。BTCが7万6800ドル付近で取引されるなか、Hyperliquidで最も大きなロングポジションの集中帯は7万2850ドル付近にあり、トレーダーは同水準で合計約650.87BTC相当のレバレッジロングを保有している。
弱気側では、最大のショートクラスターが7万7800ドル付近に位置しており、規模は約233.3BTCとなっている。7万3000ドル付近の大きな支持帯と比べてショートの集中度が相対的に小さいことは、多くのトレーダーが深い調整を、より大きな下落局面の始まりではなく、買い増しの機会と見ていることを示唆している。
興味深いことに、このポジショニングは、主要取引所全体の清算データとは異なる。全体集計では、現在最大の清算クラスターは7万6000ドル近辺に位置している。この相違は、マクロ不透明感と祝日に伴う低流動性が重なり、ボラティリティリスクが増幅するなかで、Hyperliquidのトレーダーが日中のより大きな値動きを想定してポジションを構築していることを浮き彫りにしている。
今週発表される米インフレ指標が予想を上回れば、ドル高の勢いが強まり、BTCは厚く意識されている7万3000ドルの支持帯に向けて再び下値を試す可能性がある。反対に、インフレ指標が弱く、マクロデータも軟調となれば、将来的なFRBの金融緩和期待が再び高まる可能性がある。この場合、7万8000ドル付近に積み上がったショート勢が踏み上げられ、心理的節目である8万ドルに向けたリリーフラリーにつながる可能性がある。



